(代表的なSSRI。薬事日報より引用。)
うつ病治療の第一選択薬は現在ではSSRIという群の薬になっています。それまでは、三環系という抗うつ剤がうつ病の特効薬でした。今では第二選択薬となっています。
なぜそうなったかというと、三環系特有の口渇、便秘といった不快な症状がSSRIにはないからです。それでいて、三環系とSSRIの効果は同等とされています。それだったら、SSRIのほうがよいに決まっていますよね。
ところが、実際に両方の薬を使ってみると、SSRIよりも三環系のほうがよく効くように思われるのです。患者さんの「快癒感」が違うのですね。三環系が効くと、二週間後には患者さんは晴れ晴れとした表情で病院に見えます。SSRIには、その晴れ晴れとした感じがないのです。
薬効検定は二重盲検法 (2013-07-13) で厳密に行われます。だとすると、薬効の評価尺度に問題がある可能性があります。うつ病の改善度はふつうハミルトンうつ病評価尺度で測定されます。(1960 年から使用されているので、この尺度がスタンダードになっています。)
ハミルトンうつ病評価尺度は、自殺念慮よりも不眠のほうを重要視しているなど、欠点もあるのですが、ほとんどの抗うつ剤の薬効がこの尺度で測られてきたため、生き残っています。
今後、SSRIと三環系を比較するときには、「快癒感」の項目を入れる必要があるだろうと考えています。