院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

何のための熱中症キャンペーン?

2014-07-24 22:01:04 | 社会

豊中市のHPより引用。)

 90歳のお婆さんが、無傷で道に倒れて死んでいたら、死因はまず何を考えなくてはならないでしょうか?普通、医者は脳卒中や心筋梗塞を考えます。

 ところが、ここ数年は違うようです。暑い日だと熱中症の疑いということにされてしまいます。この数年、「熱中症キャンペーン」が行われているからです。本当の死因は解剖をしなくては突き止められません。

 今日は熱中症の疑いで500人以上が救急搬送され、1人が死亡したと報道されました。普通の人は、熱中症で死者が出たのかとショックを覚えるでしょう。確かに熱中症で死ぬことがあります。ですが、この報道で死亡した1人に数えられたのは、実は上記の90歳のお婆さんなのです。つまり、統計が相当にいい加減なのですね。

 熱中症はむかしからありました。溶鉱炉の作業員に見られました。夏で暑いから熱中症になるとは、むかしは言いませんでした。むかしのほうが冷房が完備していなかったにもかかわらずです。

 日本よりもはるかに暑く、冷房が完備されていない国では熱中症はどうなっているのでしょうか?アフリカや東南アジアなどです。そちらの国々のデータを知りたいものです。このことは昨年も述べました (2013-7-11)

 「熱中症キャンペーン」が始まる前は、冷房を28℃以下に下げないようにしようと奨励されていました。これを「28℃キャンペーン」と呼んでもよいでしょう。そのキャンペーンは熱中症を奨励していたことにはならないでしょうか?いま「28℃キャンペーン」は影をひそめました。なんのためのキャンペーンだったのでしょうか?

 現在の「熱中症キャンペーン」も、なんのために行われているのか理由が分かりません。このキャンペーンも将来、無駄なキャンペーンだったとされることでしょう。キャンペーンと聞いたら疑えとは、故山本夏彦翁の言葉です。

カウンセリングと「手の内」

2014-07-24 04:37:09 | 医療

(お札の手品。Yahoo!ショッピングより引用。)

 医療や遺伝のカウンセリングにせよ、心理カウンセリングにせよ、カウンセリングには交渉事としての側面があります。だから、面接者はカウンセリングの過程で手の内を明かしません。

 心理カウンセリングの場合、ある程度確立した技法があります。フロイトの精神分析療法やロジャーズの来談者中心療法などがそれですが、これらも最初のうちは手の内を明かしません。しかし、カウンセリングが進むにつれて、手の内を隠したままでは限界が見えてきます。

 そこからは、依頼者とカウンセラーが互いに人格を賭したやりとりが行われるようになります。この辺りが、心理カウンセリングが実り多いものとなる際のキモになります。

 ですから、カウンセリングが成功するかどうかは、技法の種類にはよらず、カウンセラーの人格によるところが大きいことが知られています。要するに、どんな技法でもそれはとっかかりに過ぎず、最終的にはたいして重要ではなくなります。どんな技法を用いても、けっきょくはカウンセラーの資質に帰着するということです。