Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

秋桜

2008年10月15日 | 東京
 秋の花といえば、「秋桜(コスモス)」である。月曜日に訪れた昭和記念公園はまさにこの花の時期で、一面の秋桜。一面というのが半端な広さではなく、見渡す限り、という表現がまさに適当なような秋桜だった。
 秋桜で私のようなおじさんが思い出すのは、やはり山口百恵の《秋桜》である。中学生の頃、ラジオからよく流れていた曲で、「薄紅の秋桜が秋の日に、何気ない陽だまりに揺れている」という出だしの歌詞だけは今も覚えている。確か、嫁ぐ娘とその年老いた母を歌うもので、子どもの時分には、なんと寂しい歌なんだろうと思った記憶がある。
 今、秋桜の前に立つと、そんな歌詞に違和感を感じることはなくなった。子どもだった頃は、「秋の寂しさ」なんてほんの一つも知らなかった。あれから「秋」をたくさん経験して、「あたりまえ」の大人になっていった。
 昭和記念公園の秋桜畑のすぐ横で、子どもたちが空気で膨らませたビニールのボールを夢中で追いかけている。子どもたちにとって秋桜はまだ「美しいだけの花」、あの子たちのような気持ちで秋桜を見続けたかったと少し恨めしく思う。