Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ビルヂング

2009年02月14日 | 
 神戸港の近くの光景。昭和初期に建てられた「ビルヂング」が、両側の近代的な「ビルディング」の間で今もひっそり「保存」されている。私は建築の専門家ではないので詳しいことはわからないが、昭和初期の建物は、何か「丸み」を帯びた暖かさを感じるのだ。そして見た目は確かに「無駄」を装備した美しさがある。
 「美しさ」とは何かという美学的な問題はさておき、美しさと機能性は相反する存在なのだろうかと考えてしまう。確かに一時期、機能性が重視されたことで古い建築物は取り壊され、新しいビルディングへと建て替えられていった。そんなとき、多くの人々はその事実に誰も疑問を持たなかったろう。「美しい」ことよりもむしろ、「機能的」であることの方が建築物にとって意味を持つことだったからだ。
 しかし「美しさ」とは普遍的なものととらえるだけでなく、個々人の解釈やら時代性という要素も含めて考えれば、機能的、美的という両面を比較するのはふさわしくない。古い建物が壊された時、人々の美的感覚の中から、昭和初期の建築物のデザインの様式美はすでに喪失していたかもしれないからだ。
 とすると、なぜ現代社会は昭和初期のビルヂングを「保存」しようとするのか。それは「古い」からなのか、それとも現代社会の人々が再びこれらを「美しい」と感じるようになったからか?あるいは、美しいと感じるのは私だけなのか?