社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「パリアティヴ・ケアとソーシャルワーク」ヘネシー・澄子(2006)

2009-12-14 14:50:28 | 社会福祉学
『死の臨床』Vol.29 No.1

☆パリアティヴ⇒日本では「緩和」と訳されることが多い

アメリカでは一般的になっているパリアティヴ・ケアにおけるソーシャルワーカーの役割について、「NASWパリアティヴと人生終焉期ケアにおけるソーシャルワーク実践基準」を交えながら、紹介している。

引用
①「パリアティヴ・ケアは英語のパリエート(治療をせずに病気や疾患の症状を軽減または取り除く)という動詞からきて、病気そのものに対する治療が効果を失ったとき、病からくる痛みの軽減と患者を悩ませる他の症状(精神的・社会的問題を含めて)を取り除いて、患者の死に至るまでの生活の質を向上させることを目的としたケア」

②パリアティヴ・ケアでソーシャルワーカーに求められる能力
・家族に(死が迫っていることについて)心の準備をさせる能力
・死、死にゆくこと、悲嘆などの理論を実践に使える能力

③アメリカの高齢者長期入所施設では、入居担当のソーシャルワーカーが、医療に関する遺書の有無などをあらかじめ聞いておく。またその人の好きな色や匂いや音楽など、五感を喜ばせることを記録しておき、後のパリアティヴ・ケアの実践に役立てている。


さすが、ホスピス緩和ケアの先進国!!とうなづいてしまうくらいに、ソーシャルワーカーの役割(責任も含む)が明示されている。そして何よりも、「死」に対してオープンであり、健康なうちから「どのように死を迎えたいか」をきちんと聞いている。
筆者も指摘しているが、日本は「死」がタブー視されており、サービスの導入時に確認することはほとんどないと思う。しかし、いずれはやってくる「死」について、それをきちんと「自分のもの」として考えてもらえるように、援助者側も働きかけていかねばならないだろう。

引用②について、「うわ~」と驚かされた。しかし「死」はデリケートであり、ハードなもの。専門家として向き合うには、これくらいのことは求められて当然だろう。
日本では、緩和ケアについての「概論」的な講習は多く開催されているが、理論を実践に活かせるための(その専門家を養成するための)継続的な開催は見受けられない。
単発での学習も啓蒙的には効果はあるが、養成には限界がある。日本もきちんと取り組みを始める時期にきていると思う。

コメント
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