杉本浩章、近藤克則、樋口京子『社会福祉学』第52巻第1号 2011
全国の訪問看護ステーションを対象とした、ステーションを利用した後に死亡した高齢者の調査研究。調査自体は1999年のものである。経済格差は、終末期ケアにどのような格差を生み出すかを分析している。
引用
・利用者世帯の経済水準を5群に設定…生活保護世帯レベルの経済力を「低い」として、担当看護師が判断
・看取り場所の家族の希望は、経済水準が「普通」以上の3群では、「自宅での看取りの意思表示あり」の割合が6~7割程度であったが、経済水準が低い2群では、共に5割台と少なかった。
・経済水準が「やや低い」世帯と「低い」世帯では、より多くの福祉等サービスを利用していた。
・考察より⇒「終末期ケア格差」解消に向けたソーシャルワーカーの取り組み…不利な条件にある患者への支援をよりていねいに立案・実施することが求められるだろう。
「お金がなければ、死にたいところでは死ねない」…これは現場にいたときに、多くの利用者さんから身を持って教えられた現実である。これを科学的に立証したのが、本研究であると感じた。
なぜ経済水準が低いのか。この裏付けが提示されていないのが残念であるが、経済水準が低いほどサービスの利用率が高いということから推測すると、主介護者等に「定職につきにくい」何らかの事情(障がいや疾病)があるのかもしれない。そうであれば、より多くの関係機関と協働し、意思表示を表明してもらうように努めたり、共倒れにならないより手厚い支援が必要となってくるだろう。
本研究は、経済格差と終末期ケアの関係性について取り上げた、貴重な研究であると思う。しかし、調査そのものは12年前のものであり、介護保険以前のものである。
調査研究は時間も費用もかかり、とても困難な作業である。しかし、12年前の材料を再分析するのは少し無理があるのではないか?という疑問はどうしても払拭できない。
全国の訪問看護ステーションを対象とした、ステーションを利用した後に死亡した高齢者の調査研究。調査自体は1999年のものである。経済格差は、終末期ケアにどのような格差を生み出すかを分析している。
引用
・利用者世帯の経済水準を5群に設定…生活保護世帯レベルの経済力を「低い」として、担当看護師が判断
・看取り場所の家族の希望は、経済水準が「普通」以上の3群では、「自宅での看取りの意思表示あり」の割合が6~7割程度であったが、経済水準が低い2群では、共に5割台と少なかった。
・経済水準が「やや低い」世帯と「低い」世帯では、より多くの福祉等サービスを利用していた。
・考察より⇒「終末期ケア格差」解消に向けたソーシャルワーカーの取り組み…不利な条件にある患者への支援をよりていねいに立案・実施することが求められるだろう。
「お金がなければ、死にたいところでは死ねない」…これは現場にいたときに、多くの利用者さんから身を持って教えられた現実である。これを科学的に立証したのが、本研究であると感じた。
なぜ経済水準が低いのか。この裏付けが提示されていないのが残念であるが、経済水準が低いほどサービスの利用率が高いということから推測すると、主介護者等に「定職につきにくい」何らかの事情(障がいや疾病)があるのかもしれない。そうであれば、より多くの関係機関と協働し、意思表示を表明してもらうように努めたり、共倒れにならないより手厚い支援が必要となってくるだろう。
本研究は、経済格差と終末期ケアの関係性について取り上げた、貴重な研究であると思う。しかし、調査そのものは12年前のものであり、介護保険以前のものである。
調査研究は時間も費用もかかり、とても困難な作業である。しかし、12年前の材料を再分析するのは少し無理があるのではないか?という疑問はどうしても払拭できない。