社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「グリーフカウンセリング 悲しみを癒すためのハンドブック」大学専任カウンセラー会・訳(1993)

2012-02-14 14:50:20 | 心理学
Worden,Ph.D

以前、洋書で紹介した本の訳版が手に入ったので、再度熟読。
グリーフケア、特にグループカウンセリングについてはとても充実しているためが、訳本は絶版の様子。とても残念。
前回と重複している箇所もあるが、管理人の英語力があやしいため、あえて記載。

引用
・Wordenは、喪失体験に関するものを悲嘆(grief)、喪失後に生じる心理過程を悲哀(morning)と定義している。

・悲哀(=喪失への適応)の四つの課題
課題Ⅰ:喪失の事実を受容する
課題Ⅱ:悲嘆の苦痛を乗り越える
課題Ⅲ:死者のいない環境に適応する
課題Ⅳ:死者を情緒的に再配置し、生活を続ける
---Wordenは、悲哀はこの4つの課題が完了した時におわるとしている。また、「悲嘆反応の完了を占める一つの目安は、死者を苦悩なく思い出せるようになったときである」ともしている。

・パークスらの先行研究を引用し、予測的なアプローチを紹介している。以下の8変数からなる「遺族危機指標」を死後4週間の時点で評定し、いくつかがあれば介入の必要があるとしている。
①小さい子どもたちを抱えている
②低社会階層
③職業-ほとんどない
④怒り-強い
⑤やつれ-強い
⑥自責-強い
⑦現在の人間関係が欠如している
⑧評定者による適応状況の評価-援助を必要とする


本ブログで紹介した以外にも、カウンセリングの10原則やグループカウンセリングの運用方法、ノーマル/複雑な悲嘆について等、勉強になることが多い。

日本の研究者が書いているグリーフケアの本/論文でも引用されていることが多く、実践のみならず学問的にも秀でている書であるのだと思う。

グリーフカウンセリング―悲しみを癒すためのハンドブック
クリエーター情報なし
川島書店
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