『高齢者のケアと行動科学』第29巻
一人暮らしの認知症高齢者の在宅生活継続に向けた支援に有用な資料を得るために、利用した社会資源をまとめ、特徴を明らかにすることを目的としている。より一層の増加が見込まれる一人暮らし高齢者(認知症に限らず)の生活を支える術をするために、役に立つと感じた。
引用
・最も利用が多かった社会資源は、訪問介護事業所であり、次いでかかりつけ医、家族、デイサービスで、地域包括支援センターであった。
・(類型した結果から)「限定的な社会資源支援型」の支援期間は最も短く、「多様な社会資源支援型」は最も長かった。
・(実践へのサジェスチョンとして)本調査では2割強の独居認知症高齢者が家族の支援を得られていない状況が明らかとなり、支援体制として特定の支援者に負荷がかからないチームでの支援を実践現場において意識する必要があることを改めて考える機会を提供できた。
「65歳以上であれば地域包括で」と、地域の行政機関から連絡が入ることがしばしばある。それ自体は間違ってはいないのだが、その先の連携に二の足を踏まれることについて、毎日のようにがっかりとさせられている。そしてまた、「自分の家で生活できることがベストだ」と信じて疑わない実践者がいることも事実である。
一人暮らし高齢者を支える取組は只中にあり、今後も複雑化していくなかで、医療・福祉等の支援者は、どのように向き合うべきなのか。その疑問を整理するために、役に立つ調査だと思った。