いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

大相撲。保守と改革。  conservation and innovation

2010-01-09 19:59:59 | 日記
 貴乃花親方(親方制度。伝統的名称の保存)が、所属する一門(グループ)を離
脱して日本相撲協会の理事選挙に立候補する意向を示している。
 最近の大相撲はニュースで見る限りでは、観客席に空席が目立ち、半分も埋まっ
ていないこともある不人気。

 こういう状況が協会の体制、体質の問題なのか、力士の資質の問題なのかわから
ないが、報道によると若手親方、関係者からは、協会の運営方針について不満があ
り、貴乃花親方が代表して協会改革(innovation)に打って出るという筋書き(scenario)
のようだ(どう改革したいのかは、わからない)。

 テレビ全盛時代に、大相撲人気を支え、成長期をむかえ、体験した力士、関係者
には、貴乃花親方をはじめとして、現在の観客数の大減少、外国人力士の活躍ばか
りが目立つ大相撲の現状、不人気に危機感のあるのは、理解できる。

 大相撲の伝統的な規律、既成事実として、各一門(グループ)の理事枠が決められ
ており、貴乃花親方の所属する一門からの理事選出馬数は、すでにベテラン(veteran)
親方で占められていて、若手の貴乃花親方の一門からの出馬には大きな障害となっ
ている。
 従来、一門からの理事枠を取り決めて事前に調整して無投票で理事を決めてきた
慣行があり、志のある者が自由に出馬して選挙で選出する透明性のあるルールは、
「伝統を重んじる」協会には、ない。組織(organization)が衰退する典型的なパターン。

 そこで、今回、貴乃花親方は、一門を離脱して無所属で同選挙に出馬する意向を
固めたようだ。無風選挙区に対立候補者が出て、投票による決着がはかられる図式
。国技といわれ、伝統芸能として数百年も受け継がれてきた大相撲の「伝統的体質」
を、古いとかあたらしくとか言う観念もどうかと思うけれど、力士希望者の減少で
国技、伝統芸能の大相撲に外国人への門戸を開いたのは、協会だ。

 その時点で、すでに大相撲は国技、伝統芸能にしばられない改革の道を歩みだし
てきていた。その結果としての「不人気」に、若手親方、関係者(大相撲人気を支
えた経験者)が、直接、協会理事として参画して危機感、改革の意思を反映しよう
とする意義は、大切だ。

 大相撲の現状は、外国人力士が登場し、横綱二人を含め上位のほとんどは体躯に
優れた外国人力士で占められており、中には伝統的な国技の大相撲の「仕来たり」
にそぐわない行動、言動で世間を騒がせている。
 それは、そもそも協会が進めてきた改革(力士希望者の減少という社会背景)ラ
インなのだ。

 その流れからしても、若手親方、関係者が大相撲不人気の協会の運営方針に理事
として参画してあらたな改革の意思を反映したいとするのは、当然のことだ。
 理事選は各一門の有資格者による投票制(実質は、事前調整による無投票)で、
一門を離脱(一門では「破門」とする意見もある)した候補者には、無所属という
不利が予想されるが、協会は若い関係者の大相撲改革の機運をいかして、興業改
革、土俵改革を進めるべきだ。

 国技、伝統芸能としての大相撲の型、美意識、精神は、人気(策)だけに左右さ
れない守るべき価値があるとの見方もある。
 貴乃花親方をはじめ若手親方、関係者がどう大相撲を改革しようとするのか、公
開すること、また、すでに一度は改革(外国人に門戸開放)を切った大相撲(協会)が、
伝統と人気と改革の3原則をどうフュージョン(fusion)するのか、技量が試される。

 大相撲を唯一、生中継するNHKが、メインニュースでこの話題を取り上げなか
ったのが、「印象的」であった。

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