いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

財津和夫の545日。  summary account, live & talk

2010-01-27 19:34:45 | 日記
 財津和夫さんが08年5月から、10万~20万人規模の地方都市の500人~600人
収容の小ホール中心にライブ&トークコンサートを1年半(545日)にわたって展開した。

 財津さんは、72年から2度メンバーチェンジをして18年間音楽グループ活動をした
「チューリップ」を89年に解散してソロ活動中、その後、ほぼオリジナルメンバーで「チュ
ーリップ」を再結成して5回、全国ツアーを展開し、その08年3月に「チューリップ」として
の音楽グループ活動に終止符を打っていた。

 地方都市には、その地域独特の伝統行事、文化が引き継がれていて、市民への文化
振興にも力を入れているところが多い。小ホールも多く建設されていて、音楽専用のホー
ルとして、音響設備の高い、音響効果のいいホールも多い。
 財津さんがライブ&トークコンサートを開催した可児市の文化創造センターのホールは、
世界的なアコースティックギター製作の(株)ヤイリギターから歩いて4~5分の広大な緑
地帯にあり、音楽他市民の芸術、文化の拠点となる多機能のコンポジット(composite)セ
ンターの中にあり、ホールはオペラハウスの様式で、まるで宇宙空間に足を踏み入れたか
のような雰囲気に包まれた、音響効果の優れた音楽ホール。
 また、丹下健三氏が設計にかかわった君津市のホールでの同コンサートの開催など、
地方都市の音響性能の優れた小ホールでの開催も多かった。

 同コンサートは、小ホールでの直近感のあるオーディエンスとのサウンド(声、音)、音
楽、コミュニケーション(communication)の一体感を通して、40年近く前の自らの音楽
の原点に立ち返って、サウンド志向を見つめ直すものとなった。

 テーマのひとつは、現代社会における「愛」の姿、本質について。ひとりの心の中の、男
と女の間に、家族を結ぶ「愛」が、今や社会に様々なコマーシャル(commercial)の形態で
氾濫し、そのパラドックス(paradox)としての、親が子を、子が親に手をかけ、人が集合す
る場所での自暴自棄の無差別殺傷、また世界を見れば無差別テロに地域紛争と戦争が
絶えない現代社会。

 同コンサートでは、オープニングに持ってきた「この世の端でも」で、「近頃じゃ、大安売
り、誰もが欲しがる愛の言葉」と現代社会の愛を表現して歌い、財津さんはコンサートで、
「この世の端でも」のコンセプトを基にしてこのコンサートを聞いてほしいとメッセージし
ている。「この世の端でも」の中に、同コンサートのテーマの骨格の数々が歌われている。

 財津さんひとりでのアコースティックギター1本、キーボード1台で、パターンの違うラ
ブバラードを歌い継いでいき(後半はバンド編成)、コンサート中に、ひとりの心の中の、
男と女の間に、家族を結ぶ「愛」のあり方、本質について財津さんは印象的な言葉を残し
ている(本ブログ記録参照)。

 テーマのふたつ目が、原点回帰。アンコールで歌う「this is my home town」は、チュー
リップが89年解散する最後のアルバム「Well」の中の1曲なのだが、博多での日常の想い
の言葉(lyrics)が原点回帰を思わせる名曲で、チューリップ初期のシンプルな原点回帰
の音楽性をあわせ持つ。

 新旧ラブバラード集、I dream、オリジナルのビートルズサウンド、青春の影、サボテン
の花、アンコールと印象的な愛の普遍性、原点回帰を歌うセットリストで、財津サウンドメ
ッセージをオーディエンスと共有したコンサートだった。

 三つ目が、映像と財津サウンドのシンクロニズム(synchronism)。コンサート冒頭のホ
ールと開催地方の映像紹介と、財津さんのコンサート前のキャスティング(casting)。
 いくつかのバラードのメロディ、リズムに合わせたグリーン映像は、見事にシンクロして
いた。財津さんは、映像、映画に関心も高く、映画制作にも意欲を示している。

 この間、09年8月から秋にかけて、財津さんはシンプルなアコースティック・コラボレ
ーションアルバムの「ふたりが眺めた窓の向こう」を制作発表し、2010年1月30日か
ら7か月余りのバンド編成の全国ソロコンサートツアーを開始する。
 その後、今年いっぱいはインビテーション(invitation)コンサートもいくつか予定され
ている。

 ライブに絶対的な自信を持つ財津さんが、アコースティックの新曲をどのようにライブ仕
様にアレンジして聞かせるのか、楽しみだ。
 
 
 

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