いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

朝日新聞32年振りの記事取り消し。cancel the publication after 32 years

2014-08-06 19:49:54 | 日記
 (1)朝日新聞がこれまでの従軍慰安婦問題での報道内容に誤りがあったとの検証記事を掲載した。
 記事によると「韓国・済州島で強制連行した」とする当時の体験者とされる証言の信ぴょう性について、現地再取材の結果、裏付けが得られずに「虚偽だと判断し記事を取り消す(cancel the publication)」とするものだ。

 旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行問題を早くからリードしてきた朝日新聞のここにきての証言の取り消しによる事実関係の訂正には、報道の意義、社会責任の重さから驚かされたが、これに早速噛みついたのがこれまで何かと記事に関して対立、批判も多い与党自民党の石破幹事長だ。

 (2)「裏付けの取れない記事をなぜ今日まで正しいとしてきたのか」と批判して「(この記事が)隣国との友好、国民の感情に大きな影響を与えてきたことに(これを取り消すとなれば)検証を議会の場でも行うことが必要なのかもしれない」と関係者の国会招致についても言及(報道)した。

 82年記事以降32年間も一貫して従軍慰安婦の強制連行について証言にもとづいて事実との記事を掲載してきて、ここにきての再取材、記事取り消しの検証プロセスはまったく理解できないが、自らまいた種による韓国朴クネ大統領の誕生での日本に謝罪と責任を強く求める歴史認識問題発言に起因する日韓関係の最悪化を受けて、裏付け再取材を行ったとでもいうのか。

 (3)石破幹事長のいうとおり、それではよくも裏付けのない証言を頼りの歴史事実(the truth of history)記事を正しいとこれまで掲載してきたものだとの報道倫理欠如はあるが、こと政治家とメディアの関係となると、政治家もそれ見たことかとメディア批判ばかりもできない。

 政治家こそは国会審議や会見での「発言」をすぐに訂正、修正、撤回しておいてそれでおしまい、責任をまるでとらないのが常態化している。
 国民の負託を受けた政治家、議員の「発言」はそんなに「軽い」ものではなくて、国民全体に対して信頼と信ぴょう性を高く保障するものでなければならないものだ。

 (4)石破幹事長自身も失言問題はあった。朝日新聞の虚偽による記事取り消しはあってはならないことだが、批判は政治家にだけは言われたくはないのではないのか。
 あってはならないことだが、新聞も人間(記者)が関与する媒体である以上、間違いは前提として可能性は否定されない。

 そういう意味での自らの検証による記事間違いの証明に報道の自由精神性を機能したものとして評価してもいい。それにしてはそのために32年間を費やしたことは批判、非難されて当然のことだ。

 (5)ある意味では日常的、最新ニュースを提供する新聞記事としての使命、責任、意義から見れば、朝日新聞の32年振りの記事の取り消し(cancel the publication after 32 years)は的外れであり、その間の社会的、政治的、国民的影響力を考えれば報道精神性として取り返しもつかない事実性の虚像だ。

 政治につけ入るスキを見せて、報道の独立、独自性、倫理性、自由性に対する自らの手による危機抑制を招く結果ともなるものだ。

 (6)戦争、侵略、植民地支配下での歴史事実というのは当事者にしかわからない証拠、証明力が極端に閉ざされた世界であり、歴史事実の当事国同士で都合よく見解、見方が極端に分かれるもので時間の制約はあるが、しかし従軍慰安婦、大量虐殺問題は侵略した植民地支配国家の責任であることはゆるぎない事実だ。

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