未だ夢は遠く・・・
正直「俺は何をやりたかったんだろう」ってなる時も多いですよね
もっと言えば「何が好きなんだろう」「何が面白いんだろう」って
そうなる要因としては多種多様な価値感が溢れている為にそこに身を置くといつの間にか「分からなくなってしまう」
芯を保ってたつもりでも気付いたらブレてしまっていたり、或いはブレざるを得ない状況があったりする
要するに・・・心を無にする、無心で生きるなんていうのはとっても高度な「業」でしかなくて、中々それを実行出来る人間なんて少なくて
どうしても色々な“邪念”“雑念”が絡んで本来の形を見失ってしまう、しかも見失ってても迷ってしまうことは日常茶飯事なんですよ
木下監督も色々な価値観に触れて、スケジュールに押されて、プレッシャーもある中で「何が面白いんだろう?」って、
自分自身にも作品自身にも迷いが生じてしまった ただ、それを素直に口に出せたのはちょっと通じ合えてる証拠っつーか
ある意味「何でも話せる相手」である本田さんとの相性は全然良いんじゃないかと思いました
それもこれまでの描写の積み重ねもあるんじゃないかとは感じますけど、
それほどストイックでもあるという話でもあるんですよね
裏を返せば優柔不断ですけど(笑
ただまあ、「面白いって何だろう?」って問い掛けはね、あまりにも難し過ぎますね(笑
「面白い」とか「面白くないね」とは言いますけど、これほど不確定で不安定な言葉かつ事柄もないなあとは思います
何が面白いかなんて単純に言えば“人それぞれ”ですけど、それでも最大公約数的な部分は存在するわけで
結局はそこを“狙っていく”しかないんだけど、
それはそれで無難で冒険心がなくも映るし、極論を書けば全員を納得させる事なんて無理なわけ
それだったら、最初から最大公約数狙わなくても「分かる人には分かる」「届く人には届く」作品作りをするのも正解だとは思うわけさ
みんなその狭間で迷ってたり悩んでたりしてる気もするんですけど、まあ明確な答えなんてきっと出ないと思います
でもやっぱり、そういう部分は悩んで考えたりしてもいいけど、「やりたいこと」だけはブレちゃダメだとは思います
何が面白いか何が面白くないか、何が良くて何が悪いのか、それは“人それぞれ”って言葉で済まされるけど
「やりたいこと」に関して言えばその舵は自分で動かさなきゃいけないし
舵を切る行為を他人に委ねてるようじゃ正直終わってると思う
何が面白いか、何が良いか、
でもその前に、「自分は何がやりたいか」。その「やりたいこと」さえブレなければ何があろうと思慮すべき事柄が浮かぼうとブレることはないと思います
売り上げも評判も確かに重要ですし、“全く気にしない”という行為はある種許されない事だとは思いますが
最初から売り上げや評判、つまりは「結果」を求めるのではなく、自分のやりたい事をやり切って、その後で結果を気にする程度がちょうどいい
やっぱり表現っていうものはその人の「やりたいこと」をブレなく貫いてる作品のがスッと入り込んでくるものです
逆に初っ端から最大公約数狙って無難に的当てしてるような作品って案外心に残らなかったりするからね
面白さなんてものは不確定な要素の割に、そのタイプは「やりたいこと」の方向性によって驚くほどに違って来る
裏切られても裏切られても、最終的には人を信じ人の為に歌を歌って人の心を動かしたというEDはその前の無難なEDよりも心に残る仕上がりでした
今まで逃げ続けて来たトレーシー達が最後まで逃げ続けるのではなく、最後に一つ大きな「何か」を掴んで明日に向かう
よりドラマチックで、より荒唐無稽で、でも、だからこそ記憶に残るEDになったと思います
少なくとも何が面白いのか分からないまま流れ作業で終わらせず、
きちんと最後まで追及して辿り着いた今回の“答え”
不真面目そうに見えてその実何かを厳しく追及し続けているのが木下監督なんだと思う
それ故に作業の遅延等発生する訳だけど、その分良い評判を得て来たのもまた事実と言えば事実。
でもそんな彼を支える面子も面子で一筋縄では行かないセンスの持ち主の様子。最後まで「えくそだすっ!」の制作頑張って欲しいですね。
色々な人が悩んで、色々な人が奮闘して辿り着くのが一本のアニメであり、それの集合体が一本の作品である。
このアニメを見ているとそんな事実を深く意識させられますね。面白いです。
一方で、美沙やずかちゃんもそれぞれで頑張っていました
美沙に関しては、こう、歯痒い悩みって感じではありますけれどね
確かにモノづくりには関わってはいる、だけどずっと「車」のCGばかりで「他」を学べる環境ではない
このままずっと「車」=安定を選ぶか、それとも「他」=刺激を選ぶかって話でね。
ここに居れば安定は保たれる、だけどそれ以上のものはない、しかし中途半端に待遇がいいのもあって中々離れる踏ん切りはつかない
正に迷い子そのものな美沙でありますが、やっぱり美沙が目指すのは、選びたいのは安定じゃないと思うんですよね
そんな自分の気持ちに正直になれるかどうかですね。でも安定は安定で一つの“生き方”ではあります
それはそれで否定されるべき事柄じゃない 要は合うか合わないか、それだけですね。
でも、普段は元気一杯な美沙の不機嫌な表情は少し可愛かった(笑
ずかちゃんは、傍から見てると「頑張ってるのは分かる、けど、もうちょっと肩の力を抜いて」と言いたくなりますね(笑)。
ちょっと物事を重く捉え過ぎっていうか、トラウマから脱却だ!とはいうものの、それを意識し過ぎて「あくまでガヤである」って事を失念してますよね
もっと気楽に、あくまでガヤである。って事を念頭に置いた方が良い仕事出来たと思うんだけど、まあそんな冷静になるのも簡単じゃないですよね
しかも有名作品への参加と言うオプション付きですから仕方ない部分もありますよね
ただ、ガヤは主役やサブを食ってはいけない
その点であの主張し過ぎなセリフはいささか作品の視点をボヤけさせるものでもあったと思います
存在感を示すよりも、トラウマ云々よりも、まずは確実に、地に足を付けて一つ一つ仕事をこなしていって欲しい。
その先に彼女のサクセスもあるんじゃないかな・・・とか思いつつ、そんな風に“頑張りすぎちゃう”ずかちゃんもそれはそれで好きだったりするのでした(笑
そういう風に、紆余曲折経るのは当然っていうか、順風満帆に行かないからこそ応援したい、または頑張って欲しい
みんなで一緒に励まし合いながら育って欲しい・・・と素直に思える雰囲気と土壌が今作にはあります
一つ一つ“ちゃんとミスをして”しっかり学びながら歩んでいく
そういう堅実さのある作風は大好きですし、
2クールある分段階を飛ばさない丁寧な作劇が光っているので是非じっくり観て欲しいアニメの一つ、ですね
意外と監督の意向が脚本に関わってる事も分かるし、制作進行が陰で出来を左右してる事も分かるし、ガヤでもDVD渡されたりしっかりしてる事も分かる
何より、今はまだ「線」のみんなが「点」で結ばれる瞬間を楽しみに観れる隙間が個人的にたまらないですね
みんなで励まし合って、共に一歩一歩進んでいって、その先に視聴者としても驚き感慨深くなる「何か」が待ってて欲しいし、観たい。って思います
そういう高校の同級生同士の絆だとか友情だとか、そういう要素もきっちり入っている脚本も相変わらず良かったと思います
随所に溢れるケレン味溢れる演出も良かったですし(七福神とか最後のあるぴん達とか)この回もこの回ですっごく楽しめる良回に仕上がってました
また、新たに生まれた「新構想の顛末で、さて作画間に合うのか?」って問題も浮上したり引きの部分も上手かったかと。
面白かったです!
それにしても最終的に「えくそだすっ!」が無事に完成するのか、完成したとしてどのくらいの評判を得るのか
そして次の制作に関しての水面下の争奪戦の模様も描かれてたりして益々続きに期待したくなるような話数でもありましたね
果たして本当に七福神を作れるかどうかも気になりますし、本当に観続けていくのが楽しみで仕方ない作品であります
こういう一歩一歩成長していく類の職業ものが好物でもある自分にとっては宝石のようなアニメですね(笑
「上手く行かない現状」はリアルであり、「後々の成功」の為の糧でもある。
その意味合いでも欠かせない9話目でした。
あと、木下監督の声優を檜山修之にしたのはどう見ても大正解だよね(笑
コミカルでだらしなさも表現出来て、でも一瞬でイケメンにも変われる。かなりのハマり役だと感じます。