スーポーおじさんの世界ふしぎ物語2/なだいなだ・訳/筑摩書房/1983年
かみさんが、亭主のドジな男に自分の織った布を売らせに市にいかせます。布は全然売れず、男は家に帰りかけます。男が礼拝堂でお祈りをしていると鐘がなり、男は布を守護聖人の像の足元において、なにごとがおこったか見にいって、もどってみると布がありません。布代をもらおうと思いますが、もちろん聖人の像はうごきません。亭主が像をけとばすと、像からそなえられていた銀貨五枚が足元に転がってきます。こうして布代はなんとかなります。
次に、かみさんは布で針を2ダースかってくるよう亭主を家から出します。かえってきた亭主は、友だちが藁をくるまにつんでいるのを手つだろうとしたとき、針が藁のなかに落ちて、あとからさがしても見つからなかったいいます。
「やれやれドジなんだから。針は手にもって歩くものでなく、ポケットにいれとくの」とかみさんからいわれた亭主は、鍛冶屋で鉤を買って帰る途中、鉤をジャケットのポケットに入れます。ジャケットは鉤に引っかかって、ボロボロ。
「このドジ!ばか!鉤は袋に入れてかついでくればいいの」といわれた亭主が、子ブタを買いに行くと、袋におしこんで肩にしょったのはいいが、子ブタは窒息してしまいます。
「このドジ!なんてことしたの。綱をつけてひっぱってくればよかったのに」といわれ、水差しを買って綱をつけてひっぱると、今度は取っ手しかのこっていませんでした。
あまりにドジな亭主に、つぎの市の日、おかみさんは自分ででかけることに。
「ヤギをトウモロコシ畑にちかづけるな、地下室の酒樽の口をあけちゃだめ、ネコいらずのはいっている瓶に触っちゃダメ、なめたら死んじゃうよ」と言い残して市にでかけます。
留守番の亭主は、ハムを食べようとして、ワインがあれば、もっとおいしいだろうと地下室の樽の口をあけますが、栓を落としてしまいます。しばらくは穴に指を突っ込んでワインが流れ出すのをふせぎますが、ハムは食べたし、ワインは飲みたしと、犬を読んで、しっぽで栓の代わり。
ところがヤギがトウモロコシ畑に行ったというので、犬をよぶと、犬は全力で飛び出し、樽のワインはみんな地下室の床にながれでてしまいますす。
小麦粉をまいて、ながれたワインをかくそうと倉へ粉の袋をさがしにいくと、そのあいだにキツネが鶏小屋に入り込んで、ニワトリをたべてしまいます。
相次ぐ災難に、もう死のうと思って、ネコいらずがはいっているという瓶をあけますが、中身がおいしいしいので全部平らげてしまいます。
死のうと思って斧を頭に落ちてくるよう空になげあげますが、こわくなって逃げてしまいます。
死ねなかった亭主は、鶏小屋でたまごをだきはじめます。
帰ってきたかみさんが、問いただすと亭主は「コッ コッ コッ」とメンドリのまね。
かみさんはせめるわけもいかず、「こちらにいらっしゃいな。おまえさん」というばかり。
こうして、ふたりはなかなおり。
ネコいらずというのは、じつは砂糖でした。おいしいわけです。
ドジな亭主ですが、反省しているのは立派。
突き放す話もおおいのですが、おしまいにはちゃんと救いがあります。