あかねのきゃんばす/らる・いしはら・さく/福音館書店/2014年(1997初出)
黒を基調とし、直線が印象的なあまり見たことのない絵。出版社の紹介には、“はめ込み切り絵”の技法を開発した作者の初めての絵本とありました。
”あかね”が森のはらっぱで花の絵を描いていると、ウサギがやってきて「その花ちょうだい」といってキャンバスの中に手を入れると、花を取りだして森の中へもどっていきました。
びっくりした”あかね”が「だったら、クッキーの絵を かけば クッキーが 食べられるかな?」とクッキーの絵をかいて、手をのばすとクッキーが取りだせます。
クッキーの甘いにおいが森中に広がり、森の動物たちが かけよってきて みんな「クッキーを ちょうだい」といいます。
みんなはクッキーを おなかいっぱい食べました。
うさぎが森の上を飛びたいから飛行機の絵をかいてというと、みんなも、声をそろえます。
キャンバスはちいさく、みんなが乗れる飛行機ができません。そこで、少しづつ部品をかいて、みんなで組み立てです。
みんなが乗れる大きな飛行機で森の上を飛ぶと、それを見ていた森の木も、ぼくたちもとはらっぱにあつまってきます。
みんなが楽しく遊んだ後、うさぎが、花をキャンバスにかえすと、飛行機もきえてなくなります。
森の木に目も口も手も足もあって切り絵の特徴が生かされています。
キャンバスに描いたものがとりだせるという不思議な世界。夢がひろがります。