王女さまの手箱/美しいハンナ姫/・マリア・ケンジョジーナ・作 足達和子・訳/岩波少年文庫/2008年
ポーランドの作家マリア・ケンジョジーナ(1905-1978)が、第二次世界大戦の廃墟と化した祖国で、再生の祈りを込めて子どもたちに贈った物語の一つです。
昔話風ですが、現代の作家らしく一味も二味も違います。
王女がうまれ、おおぜいの人が、お祝いに持って城にやってきます。
この人々の中に、金ぱくにおおわれた四頭だての黒馬車にのった貴族風の男がやってきます。男がもってきた立派な手箱の中には、金の首飾り、ダイヤの指輪、真珠の耳飾り、ルビーのピン止めなどの金銀宝石がぎっしり。
この手箱には「大きくなったら、おいでなさい。もっとさしあげましょう。」という文字が彫られていました。
このあたりから現代風になるのですが・・・。
戦争が起こって王さまは軍を招集しますが、兵隊の食べ物や武器のお金がありません。
王さまは娘に、少し宝石を出してくれるように頼みます。そのお金で当面の費用を工面しようとしますが、娘は「これをくださった方が、人にはあげてはいけないって!ご自分でおっしゃったのではありませんか」とことわります。
そのあと戦争に負け、国は貧しくなります。からっぽになった倉庫をみて、お妃が宝石を少し出してくれるよう王女に頼みますが、王女はこれもことわります。
やがて王女が年頃になって、求婚者がやってきます。
王女は手箱をくれた黒い馬車の人のことを教えてくれた方と結婚しますと言い続けます。
王子たちが人々に聞くと、どうも悪魔らしいという答えがかえってきます。
やがて王女は一人の王子と悪魔を探す旅に出ます。
二人は四日目にはお金がなくなり、王子は自分の指輪をパンとチーズ、リンゴにかえようとしますが、王女はそれを取り上げ、手箱にしまってしまいます。
馬車や馬を売って一息つきますが、またすぐにお金がなくなります。
旅の途中で、パンや野イチゴを手に入れようとしますが、指輪やルビーを要求されて、おなかをすかせているほうがいいと旅をつづけます。
徹底的に宝石にこだわる王女は恐ろしくもあり、かなしい存在でもあります。
結末では、悪魔から魂までももとめられ、自分の罪を知ることになるのですが・・・。
王女が悪魔からもらった宝石は、軍隊の費用をまかなえるほどだったのですから、相当の価値があったのでしょう。
それにしても戦争に負けて食べることもままならなくなった王さまというのは、現代の物語です。
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