ニーノとニーナ/兵士のハーモニカ/ロダーリ童話集/関口英子・訳/岩波少年文庫/2012年
兄のニーノと妹のニーナが、父親から捨てられそうになるところからはじまります。
仕事がなく、妻が病気で、にっちもさっちもいかなくなった父親と母親が、子どもたちをまちにつれていき、どこかの親切な人にゆだねようとします。
一部始終を聞いていたニーノは、足音をしのばせ、小石をたくさん拾い集めポケットにしのばせます。童話の中の森に捨てられた子どもたちのことを考えていたからです。
父親は、子どもを捨てる前に、せめて楽しい思いをさせてやろうと路面電車にのせて、大理石でできた大聖堂につれていきます。そこで父親は姿を消してしまいます。
大聖堂のベンチからも追い出され、木箱がいくつも積みあげられているところで、一夜を過ごすことになりますが・・・。
この展開は「ヘンデルとグレーテル」と同じですが、現代の作家ですから、捨てられるところは、森の中ではなく大聖堂というもの。小石は、電車に乗ったので目印にはなりませんでした。
迷い込んだのはお菓子の家ではなく、パン屋さんの木箱です。
パン屋さんの工房につれていかれた二人は、パン屋が窯の温度をたしかめようとするのをみて、窯の中に入れられてしまうのではないかと恐怖におびえます。
しかし、パン屋さんは、二人にこんがりと焼けたパンを食べさせ、父親にも、パンの配達の仕事をしてくれるよう言います。
「ヘンデルとグレーテル」を現代風にして、優しさと温かさを感じさせてくれます。
こんな話も聞いてみたいものです。
ロダーリは、「ファンタジーは、芸術家や詩人のような、ごく少数の選ばれた人びとにだけ与えられた天与の才ではありません。男でも女でも、この世に生まれたすべての人びの精神や人格をつくりあげている特質なのです。」とし、「だれでも、見たり、聞いたり、手を使ったりすることができるように、だれでも創造することができるのです。子どもは単なる消費者ではなく、かれらなりに、文化や、価値や、批判精神や、詩の、創造者であり生産者です。」というのですが・・・。
昔話を素材として、創作する楽しさを味わってもらう視点があってもいいのではと思いました。
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