全世代社会保障へ改革着手 通信インフラの整備加速 施政方針演説、概要判明
2020年1月17日 (金)配信共同通信社
安倍晋三首相が20日の通常国会召集日に行う施政方針演説の概要が16日、判明した。内閣最大のチャレンジと位置付ける全世代型社会保障制度の実現に向けた改革を「年内に実行する」と表明。人工知能(AI)やビッグデータを活用する「第4次産業革命」に国家戦略として取り組み、次世代通信インフラの整備を加速して技術革新を図る。憲法改正に関し、国会での活発な議論も呼び掛ける。
演説で、首相は全世代型社会保障について「現役世代の負担上昇に歯止めをかけるのは、待ったなしの課題だ」と強調。年金受給開始の選択肢を75歳に広げ、一定以上の所得がある75歳以上が医療機関の窓口で支払う自己負担割合を現行の原則1割から2割に引き上げる検討を進めるとした。
第4次産業革命については「経済、安全保障など社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼす」と指摘。高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムやその先を見据えて大胆な予算措置を行い、イノベーションを支援すると盛り込む。
憲法は令和の時代の道しるべになるとし、改正を見据え、国会の憲法審査会で各党が議論を深める重要性を訴える。
外交に関しては、日米同盟関係を基軸とし、中東情勢の緊張緩和も視野に、日本ならではの外交に取り組む意欲を表明。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と直接向き合うとの決意を示す。中国とは、今春を予定する習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の国賓来日を機に新たな時代を切り開くとした。
「自由貿易の旗手」として、環太平洋連携協定(TPP)の拡大や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉を主導。欧州連合(EU)から離脱する英国との通商交渉開始も明記した。