オミクロン株、50センチ以内の会話でリスク増=「富岳」予測
2022年2月4日(金)理化学研究所は2月2日、人々の日常的な活動における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株の感染リスクや対策について発表した。同研究所計算科学研究センターのチームリーダーを務める坪倉 誠・ 神戸大学教授のチームがスーパーコンピューター「富岳」でシミュレーションした結果によると、感染者がマスクをしていても50センチ以内では感染リスクは高まること、飲食店では換気扇の稼働やパーティションの設置により店舗全体の感染リスクを3分の1程度にまで下げられることなどがわかった。
シミュレーションの結果によると、感染者との距離が近くなるほど感染リスクは高まる。しゃべっている感染者と15分間、対面した時、感染者がマスクを装着していない場合のオミクロン株の感染リスクは、距離が50センチメートルでほぼ100%、1メートルで約60%、2メートルで約20%となった。一方、マスクを装着している場合は25センチメートルで約10%であった。
感染リスクは感染者と接触している時間が長くなるほど高くなり、マスクを装着していない感染者が1メートルの距離でしゃべっている場合の感染確率は、30分で90%近く、1時間ではほぼ100%となった。マスクを装着している感染者が50センチメートルの距離でしゃべっている場合は、1時間で約10%であった。
シミュレーションではほかに、イベント時の感染リスクはマスクをしていても隣同士で会話をした場合は高まること、飲食店における感染リスクは換気扇やエアコンの稼働とパーティション設置により3分の1程度にまで下げられることなどがわかった。カラオケボックスでは、集団を分割して一部屋の在室者を減らして距離を取り、歌う場所を特定することで感染リスクの低下を期待できるという。
今回のシミュレーションでは、通常呼吸を想定して、ある時間に吸引する飛沫の総量(ミリリットル)を予測。飛沫に含まれるウイルス数を過去の文献より仮定し、呼吸で体内に侵入するウイルス数を算出したうえで、感染に至るウイルス数を過去のクラスターイベントから仮定して感染確率を推定した。オミクロン株はデルタ株の1.5倍の感染力とした。