日々

穏やかな日々を

患者負担増、支給は目減り 将来の「痛み」語らず

2022年05月31日 22時20分40秒 | 行政

患者負担増、支給は目減り 将来の「痛み」語らず 「選択2022参院選 争点を探る」医療・年金

 2022年5月31日 (火)配信共同通信社
 

 少子高齢化が進む中、社会保障制度を維持しようと、一部の高齢者の医療費負担が10月に引き上げられる。公的年金は将来的に目減りしていく見通しだ。政府内ではさらなる負担増も検討されているが、痛みを伴う改革は選挙受けが悪く、与野党とも踏み込む気配はない。ただ、参院選後は徐々に具体策の議論が進みそうだ。

 「物価急騰の中、年金引き下げは許されない」。5月25日、年金受給者らでつくる全日本年金者組合などが国会内で開いた集会に、約120人が集まった。

 年金は4月分から前年度比で0・4%引き下げられている。支給額改定の指標となる現役世代の賃金水準が下がったためだが、物価高の下、高齢者の負担感は大きい。引き下げが適用され始める4、5月分の支給日は6月15日。3年前の参院選では「老後資金2千万円問題」が論戦となった経緯があり、与党は投票行動への影響に神経をとがらせる。

 来年度の年金額はプラスに転じる可能性が高いが、物価上昇ほどではないとみられ、実質的な価値は目減りしそうだ。少子高齢化に合わせて支給額を抑える仕組みがあるためで、将来的には国民年金の価値は約3割も目減りすると見込まれる。

 2025年には、団塊の世代が全員75歳以上となり、医療・介護費が急増する。40年には高齢者人口がほぼピークの4千万人近くに達し、制度を支える現役世代は激減する。

 政府は負担と給付のバランスを少しでも取ろうと、一定の収入がある75歳以上を対象に10月から医療費の患者負担を現在の1割から2割に引き上げる。75歳以上の約20%、約370万人が当てはまる見通しだ。

 ただ、現役世代の負担軽減効果は1人当たり年約700円。根本策とはならず、国会審議では立憲民主、共産両党などが「高齢者が受診を控え、体調が悪化する恐れがある」として反対した。

 負担増は今後、介護でも実施される可能性がある。介護保険制度は3年ごとに見直され、今秋に24年度改正に向け議論が本格化する。現在、サービス利用時の自己負担は原則1割だが、所得によって2割、3割の人もいる。財務省は2割負担の対象拡大などを求めており、焦点となりそうだ。

 岸田文雄首相は、厚生年金などの加入者を広げる「勤労者皆保険」を掲げる一方、負担増の議論は封印。社会保障の財源となる消費税については昨秋の自民党総裁選で「10年程度は上げることは考えない」と述べたが、政府内では「仮に10年後に引き上げるなら、議論は数年以内に始める必要がある」との声も出ている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

悲願の国産、実用へ大詰め 塩野義、経営と両立課題 「コロナワクチン開発」

2022年05月31日 22時06分39秒 | ウイルス

悲願の国産、実用へ大詰め 塩野義、経営と両立課題 「コロナワクチン開発」

 2022年5月31日 (火)配信共同通信社
 

 塩野義製薬による新型コロナウイルスワクチンの開発が大詰めを迎えている。最終段階の臨床試験(治験)が進み、6~7月に厚生労働省に承認申請する。この2年間、感染症専門の企業にとって悲願とも言える国産ワクチンの実用化に挑んできた。流行状況に左右される感染症事業は経営リスクが大きく、社会の備えといかに両立するか、持続可能なビジネスモデルの模索が続く。

 ▽後発組

 「完成度は高いと自負しているが、そこに至るまでには試行錯誤があった」。手代木功(てしろぎ・いさお)社長は5月中旬の決算会見で開発をこう振り返った。インフルエンザやエイズウイルスなど感染症の治療薬が主力の塩野義だが、ワクチンの開発は初めて。インフルエンザワクチンの開発を手がけていた新興企業、UMNファーマ(秋田市)を新型コロナ流行前に買収していたことがきっかけだった。

 欧米勢が驚異的なスピードでワクチンを開発した一方、塩野義は後発組ならではの困難に直面した。治験は通常、ワクチンを打つ人と偽薬を投与する人に分けて行う。だが、すでにファイザー製などの有効性が確認されたにもかかわらず、偽薬を打つことへの倫理的な問題が浮上。そこで厚労省を含む世界の規制当局は偽薬ではなく、実用化されたワクチンとの比較を認めるなど新しい評価方法の策定に動いた。

 最終段階の治験のうち、3回目となるブースター接種ではウイルスの働きを抑える「中和抗体」の量がファイザー製と同等だったことを確認した。岐阜県の協力工場で生産ラインを整えており、担当者は「国内で研究開発から生産までできる体制が安定供給につながる」と意義を強調する。

 ▽消火器モデル

 日本は米国、スイスに次ぐ創薬国だが、ワクチン投与の後遺症が社会問題となって以降、長年開発には消極的で新規技術の獲得も進まなかった。UMNファーマはアステラス製薬と共同で、当時国内になかった遺伝子組み換え技術でインフルエンザワクチンを開発したが、厚労省が審査で「臨床的意義に乏しい」として退けたため経営難に陥り、塩野義が救済する形で買収した経緯がある。

 治療薬の開発でも感染症は不人気で、製薬各社は患者数の見通しが立ちやすいがんや生活習慣病などにシフトしてきた。塩野義は2月に厚労省に承認申請した飲み薬と合わせ、2023年3月期は新型コロナ関連で1100億円の収入を見込む。ただ、インフルエンザ治療薬のように流行が収まれば需要がとたんに蒸発するリスクがつきまとう。

 感染症事業を安定させるため、手代木氏が国に提唱するのが「消火器モデル」だ。火事への備えを平時からしておくように、政府がワクチンや薬を買い上げる定額課金の仕組み。英国では開発企業に固定報酬を支払う代わりに必要な際に薬を政府が受け取れる制度がある。手代木氏は「誰かがやらないといけない。この状況が続けばわれわれも頑張りきれなくなる」と警鐘を鳴らしている。

 ※塩野義製薬の新型コロナウイルス関連事業

 2020年春に治療薬とワクチンの開発を表明。治療薬は飲み薬で、重症化リスクに関係なく使えるとされる。今年2月に厚生労働省に承認申請。政府は承認を前提に100万人分を購入することで塩野義と基本合意している。ワクチンは遺伝子組み換え技術を活用するタイプで、ファイザー製などのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンとは仕組みが異なる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オミクロン、感染力弱い? 細胞レベルで、京大

2022年05月31日 21時39分13秒 | 大学

オミクロン、感染力弱い? 細胞レベルで、京大

 2022年5月31日 (火)配信共同通信社
 

 京都大や山口大、宮崎大などのチームは、人の気管支の細胞から「ミニ気管支」を作製し、新型コロナウイルスを感染させる実験をしたところ、オミクロン株が他の変異株に比べてウイルスを複製する能力が低く、感染力が弱いとの結果が出たと30日、英科学誌に発表した。

 オミクロン株はこれまで感染力が強いと考えられており、今回は逆の結果となった。チームによると、実験は気管支の細胞レベルで実施しているが、実際の人から人への感染では他にも複数の要因が関与しているとみられ、今回の結果だけで同株の感染力について結論を出すことはできないという。

 チームは市販されている気管支の細胞に試薬などを加えてミニ気管支を作製。直径約0・2ミリで、内部に空気が通る空洞があり、人の気管支と同様に複数の種類の細胞で構成されていた。アルファ株やデルタ株など8種類のウイルスに感染させて3日間観察。オミクロン株は他の変異株に比べてウイルスを複製する能力が低く、感染力が弱いことが確認された。

 さらに男女5人ずつの細胞から作ったミニ気管支で比べたところ、男性の方がウイルス量が増えやすく、感染しやすい傾向が確認された。抗ウイルス薬「レムデシビル」などを作用させると、ウイルス量が減少することも確認した。

 チームの高山和雄(たかやま・かずお)京大講師(幹細胞学)は「今後の薬や治療法の開発に生かしていきたい」と話した。

 注)英科学誌はコミュニケーションズバイオロジー

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

投票ボタン

blogram投票ボタン