湿地の水面を満遍なく埋めるアサザの葉=浜田市金城町下来原、雲城トンボ公園
湿地の水面を満遍なく埋めるアサザの葉=浜田市金城町下来原、雲城トンボ公園

 希少植物・アサザが浜田市金城町下来原の私有地にある「雲城トンボ公園」で見頃を迎えている。地元の有志が環境整備を続けてきた結果、直径3~5センチの葉が約30アールの湿地を隙間なく埋めるほど群生するようになった。今年はアサザの案内板も設置し、その魅力を伝えている。葉は秋頃まで楽しめるという。

 公園はもともと休耕田だったが、10年ほど前に世界一小さいと言われる「ハッチョウトンボ」が見つかったのを機に、地元住民で組織した「ハッチョウトンボを守る会」(横田芳武会長、4人)が整備した。湿地を造成し、生き物が生息しやすい環境にしたことでニホンメダカやモートンイトトンボなど珍しい生き物が見られるようになった。

 アサザは、公園で5年ほど前に見つかった。島根県の絶滅危惧1類に指定される希少な植物で、浅めの湖沼やため池に群生するのが特徴。公園の湿地に葉が一枚一枚満遍なく広がり、6月には黄色の花も咲き始めるという。

 公園には近ごろ見物客も訪れるようになり、守る会は遊歩道やベンチを設けたほか、5月始めにはアサザの案内板も設けてアサザの花言葉などを紹介している。

 守る会の岡本修治副会長(83)は「貴重な動植物が残っており、心が安らぐと思う」と話し、鎌原茂幸事務局長(76)は「生き物の鳴き声を聞きながら自然を満喫してほしい」と呼び掛けた。
      (宮廻裕樹)