坂本さんが「最後」の公演 がん闘病中、国内外へ配信
音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さん(70)が11日、事前収録した無観客のピアノ・ソロ・コンサートを日本や欧米、アジアなど約30の国や地域に配信した。坂本さんはがん闘病中で、体調面から「これが最後になるかもしれない」とコメントしている。
自ら手がけた映画「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲や、バンド「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」時代の「東風」、来年1月発売のアルバム収録曲など計13曲を力強く、繊細なタッチで情感豊かに演奏した。
終了後には「今回初めてピアノソロで弾く曲も随分ありました。自分としてはここに来て新境地かなという気持ちもあります」と話した。坂本さんは現在も治療中で、体力的に通常の長さのコンサートを行うのは難しいため、東京・渋谷のNHK放送センター内にあるスタジオで今年秋、1日に数曲ずつ収録し、編集したという。
コンサートは日本時間の12日朝まで計4回配信され、国内配信は終了した。今後、日本での再配信予定はないという。
坂本さんは1978年に結成したYMOで海外でも人気を得た。映画「ラストエンペラー」の音楽で88年、米アカデミー作曲賞を受賞。今年6月発売の雑誌で、両肺に転移したがんの摘出手術などを受けたと明かした。