温泉クンの旅日記

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湯田温泉 山口・山口市

2012-10-14 | 温泉エッセイ
  <湯田温泉>

(ああ・・・早く温泉に入りたい)
 よし、旅の第一日目(正確には第二日目)は入れなかったが今日はたっぷり温泉に浸かるぞ。
 頸椎と腰と膝に爆弾を抱えているほかは至って元気、これといった病気をしないのは間違いなく<温泉>のお陰だと思っている。そんなわたしの旅に温泉は絶対不可欠なものだ。

 仙崎を出発していよいよ湯田の街にはいった。
 湯田温泉の開湯は約六百年前といわれ、白狐が毎夜温泉に浸かっていたところを発見したとされる。田んぼの真ん中から源泉が湧出したことが「湯田」の名前の由来だ。



 珍しく、繁華街のなかにある山陽随一の規模の温泉街で、大型ホテルや旅館、ビジネスホテルなどが立ち並んでいる。飲食店も多いのでB&Bでもこの温泉地ではまったく困らない。



 あ、あった。



 見覚えのある酒屋をみつける。わたしは猫好きだが犬のように一度行ったところの地理を忘れることはない。

 酒屋のある交差点を曲がってすぐのところにある旅館、西村屋。



 詩人の中原中也、俳人の山頭火、ゆかりの宿である。両者の共通点はわたしと同じ無類の酒好きだ。色男の中也は太宰治や檀一雄などによると滅法酒癖が悪かったらしい。



 宿のフロントの傍には山頭火の本日の一句が掲げられている。
 達筆だが「岩かげ まさしく水が沸いている」となんとか読めた。

 中也と山頭火ともにこの宿の主人を親交があり、中也はこの宿の一室で結婚式をあげ、山頭火は主人と酒を呑んだりここの温泉に入ったりしたようである。



 さて、チェックインして着替えたら待ちに待った温泉に向かう。
 この宿の温泉は湯田温泉で共同管理されている高温の混合泉と自家源泉の低温の源泉とのミックスで、かけ流しであり、飲泉できるほどいい温泉である。無色透明、無臭、泉質はアルカリ性単純温泉。
 露天は時間制限があるが、内湯は夜中でもいつでも入れる。



 山頭火の庵の名「風来居」にちなんだ露天「風来の湯」。



 中原中也生誕100年記念の露天風呂「春宵の湯」は、中也の詩、「春宵感懐」から命名された。だんだん深くなっていく露天なので見かけは広いが二、三人でいっぱいになってしまう。



 内湯はそれぞれ円形と半円形で黒御影縁の浴槽に、大理石と、七宝タイルの壁、ふたつの百パーセント源泉から掛け流しで、打たせ湯、臥せ湯の浴槽も併設されている。
 着いたときが円形と風来、午後九時から入れ替わって半円と春宵だった。



 ところで、わたしの部屋担当のとても元気な女性に二度目の宿泊と言ったら、遠路はるばるということもあったのだろう、接客モードのレベルの目盛が二段階ぐらいあがった。
 温泉、酒、温泉、酒、夕食と酒、温泉、酒、温泉、酒・・・。夕食以外はすべて二拍子。

 格式ある宿にしては今回は超安い二食付きで万札一枚のプランだったが、そのお得な訳がなんとなくわかった。すぐ隣が宴会場で、なんと夜九時過ぎかた大宴会が始まったのだ。
 だが、すでに温泉たっぷり酒たっぷりの、山頭火のいういわゆる「ぐでぐで」状態になっていたわたしにはまったく気にならなかったのであった。


  →「ぐでぐで」の記事はこちら
  →「金子みすゞを訪ねて (1)」の記事はこちら
  →「金子みすゞを訪ねて (2)」の記事はこちら


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