<読んだ本 2011年12月>
餅も正月料理もそろそろ飽きた。
室内でゴロゴロしているのも限界だ。外に出るか。ああ、早く温泉にいきたいなあ。
おっ、そうだ。このあいだ単身赴任の長いひとと話しているときに出たカップみそ汁でも買ってみよう。たしか大手のコンビニで150円くらいで売っているはずだ。
なにを合わせるか。やっぱり日本人だからここはおにぎりだな。できればコンビニのではないほうがいい。
ジャーン! 揃いました。
おにぎりは左から、おかか、シャケ、辛し明太子(生)、それにお稲荷。
主役は、実はカップのか「かに汁」だ。鳥取の堺港産の、生ずわい蟹の具入りである。築地市場内の寿司店が監修した贅沢な味噌汁である。
おにぎりをパクつきながら、味噌汁を啜る。
うむ、ニッポン人のソウルフードの揃い踏みだな。
これはなんともいえず、うめぇーな。たまに箸にかかる、ほぐした蟹の身がたまらん。アクセントに買ってきた、稲荷の甘みともベストマッチだ。
お礼代わりに徳島の「金ちゃんヌードル」を教えてあげた。大手の味に慣れた舌には新鮮な驚きがあるカップ麺である。
静岡や愛知ならコンビニにもあるが、首都圏ではドラッグストアにひっそり置いてあったりする。
運がいいと、「金ちゃん焼きそば(復刻版)」もある。これも絶妙に旨いのだ。
香ばしい麺に、キャベツのかやく。風味のあるソースが粉末だから均等にまわって、これが止まらない。あっと言う間に食べ終わる。足らない。もうひとつ買ってくればよかった・・・と激しく後悔する(すげぇ能天気やのぅ)くらい旨い。
さて、読んだ本ですが、今月も6冊、累計で2011年は75冊で終わりました。
1.○応酬 ポール・リンゼイ 講談社文庫
2.◎三千枚の金貨(上) 宮本輝 光文社
3. ◎三千枚の金貨(下) 宮本輝 光文社
4. ○鬼平犯科帳5 池波正太郎 文春文庫
5. ◎椿山課長の七日間 浅田次郎 朝日新聞社
6. ○海辺のカフカ(上) 村上春樹 新潮文庫
宮本輝の「三千枚の金貨」で妙なところが心に残った。
主人公「光生(みつお)」が中学生のとき、家族が別居してる真相を知り、越前海岸のどこかの港から自転車ごと海に突っ込んで、海底に沈んでも漕ぎつづけて死んでやる、と思う。
港にたどり着き、海へ突っ込もうとする。
『・・・うしろから声をかけられた。タオルで頬かむりした老人が立っていた。
「あれはかもめや」
と老人は防波堤に視線を投じたまま言った。
「何羽くらいおるのかなァ。七十羽っちゅうとこやが、坊やは気がつかんか?」
何のことだかわからず、光生は視界をかすませる霙のなかでかもめの群れを見つめた。
「なかには一羽か二羽、臍曲りがおるがのぉ。それ以外のかもめはみんな同じ方向を
向いとるやろ」
「なんで、あいつらはみんな同じ方向を向いちょると思う?」
・・・ (略)
「あいつらは風の吹いて来るほうを向くんや」
・・・(略)
「どんなにええ天気で、人間も機械も無風としか感知でけんでも、風っちゅうのは
やむことはないんじゃ。空気は絶えず動いちょる。刻々と動き方を変えて動い
ちょる。海鳥を騙せる風なんかないぞ。あの波をみてみいや。でっかい剣山みたいに
なって押し寄せてきよるやろう。そやけどあれは海のほんの表面や。海の底の潮は
逆のほうへとゆっくりと動いとって、その力はたかが波とは比べもんにならん強さ
やが、人間の目には見えんのや」・・・(略)・・・』
こんな会話の内容に感心して、主人公の気勢がそがれてしまうのが、よく分かる。
ついでにもうひとつ。
光生の親友のひとりが馬券ではずっと黒字だと聞き、どんな買い方をするか訊く場面。
「単勝三番人気の馬と四番人気の馬の組み合わせだけを馬番単勝式で買うんだ。だから
どのレースも二点張り。たとえば、1-4って組み合わせだったら4-1も買う。
これ以外の馬券は買わない」
この方式で『この十年で二百四十万のプラス』だそうだ。
わたしはギャンブルはまったくしないのだが、この買い方を一度試してみるかな。
「椿山課長の七日間」を読むのは二度目なのだが、それでも面白かった。
→「読んだ本 2011年11月」の記事はこちら
餅も正月料理もそろそろ飽きた。
室内でゴロゴロしているのも限界だ。外に出るか。ああ、早く温泉にいきたいなあ。
おっ、そうだ。このあいだ単身赴任の長いひとと話しているときに出たカップみそ汁でも買ってみよう。たしか大手のコンビニで150円くらいで売っているはずだ。
なにを合わせるか。やっぱり日本人だからここはおにぎりだな。できればコンビニのではないほうがいい。
ジャーン! 揃いました。
おにぎりは左から、おかか、シャケ、辛し明太子(生)、それにお稲荷。
主役は、実はカップのか「かに汁」だ。鳥取の堺港産の、生ずわい蟹の具入りである。築地市場内の寿司店が監修した贅沢な味噌汁である。
おにぎりをパクつきながら、味噌汁を啜る。
うむ、ニッポン人のソウルフードの揃い踏みだな。
これはなんともいえず、うめぇーな。たまに箸にかかる、ほぐした蟹の身がたまらん。アクセントに買ってきた、稲荷の甘みともベストマッチだ。
お礼代わりに徳島の「金ちゃんヌードル」を教えてあげた。大手の味に慣れた舌には新鮮な驚きがあるカップ麺である。
静岡や愛知ならコンビニにもあるが、首都圏ではドラッグストアにひっそり置いてあったりする。
運がいいと、「金ちゃん焼きそば(復刻版)」もある。これも絶妙に旨いのだ。
香ばしい麺に、キャベツのかやく。風味のあるソースが粉末だから均等にまわって、これが止まらない。あっと言う間に食べ終わる。足らない。もうひとつ買ってくればよかった・・・と激しく後悔する(すげぇ能天気やのぅ)くらい旨い。
さて、読んだ本ですが、今月も6冊、累計で2011年は75冊で終わりました。
1.○応酬 ポール・リンゼイ 講談社文庫
2.◎三千枚の金貨(上) 宮本輝 光文社
3. ◎三千枚の金貨(下) 宮本輝 光文社
4. ○鬼平犯科帳5 池波正太郎 文春文庫
5. ◎椿山課長の七日間 浅田次郎 朝日新聞社
6. ○海辺のカフカ(上) 村上春樹 新潮文庫
宮本輝の「三千枚の金貨」で妙なところが心に残った。
主人公「光生(みつお)」が中学生のとき、家族が別居してる真相を知り、越前海岸のどこかの港から自転車ごと海に突っ込んで、海底に沈んでも漕ぎつづけて死んでやる、と思う。
港にたどり着き、海へ突っ込もうとする。
『・・・うしろから声をかけられた。タオルで頬かむりした老人が立っていた。
「あれはかもめや」
と老人は防波堤に視線を投じたまま言った。
「何羽くらいおるのかなァ。七十羽っちゅうとこやが、坊やは気がつかんか?」
何のことだかわからず、光生は視界をかすませる霙のなかでかもめの群れを見つめた。
「なかには一羽か二羽、臍曲りがおるがのぉ。それ以外のかもめはみんな同じ方向を
向いとるやろ」
「なんで、あいつらはみんな同じ方向を向いちょると思う?」
・・・ (略)
「あいつらは風の吹いて来るほうを向くんや」
・・・(略)
「どんなにええ天気で、人間も機械も無風としか感知でけんでも、風っちゅうのは
やむことはないんじゃ。空気は絶えず動いちょる。刻々と動き方を変えて動い
ちょる。海鳥を騙せる風なんかないぞ。あの波をみてみいや。でっかい剣山みたいに
なって押し寄せてきよるやろう。そやけどあれは海のほんの表面や。海の底の潮は
逆のほうへとゆっくりと動いとって、その力はたかが波とは比べもんにならん強さ
やが、人間の目には見えんのや」・・・(略)・・・』
こんな会話の内容に感心して、主人公の気勢がそがれてしまうのが、よく分かる。
ついでにもうひとつ。
光生の親友のひとりが馬券ではずっと黒字だと聞き、どんな買い方をするか訊く場面。
「単勝三番人気の馬と四番人気の馬の組み合わせだけを馬番単勝式で買うんだ。だから
どのレースも二点張り。たとえば、1-4って組み合わせだったら4-1も買う。
これ以外の馬券は買わない」
この方式で『この十年で二百四十万のプラス』だそうだ。
わたしはギャンブルはまったくしないのだが、この買い方を一度試してみるかな。
「椿山課長の七日間」を読むのは二度目なのだが、それでも面白かった。
→「読んだ本 2011年11月」の記事はこちら
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