温泉クンの旅日記

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続・平戸千里ヶ浜温泉(1)

2019-03-17 | 温泉エッセイ
  <続・平戸千里ヶ浜温泉(1)>

 平戸の海は、しとやかなオトナの女性のようにどこまでも穏やかであった。

 

 

 ザッパーン、ザッパーンと荒磯の岩礁に打ち寄せて砕け散る、まるで東映映画の冒頭ロゴみたいな日本海のイメージとはほど遠いもので、遠い西の果てまではるばる旅してきたのだなと思い知る。(もっとも東映のやつのロケ地は房総の銚子犬吠埼だがね)

 

(えっ、あそこが飲み放題の二食付き宿泊プランで九千五百円ですと!)
 平戸の五大ホテルのひとつ、あの「蘭風(らんぷう)」がである。飲み放題をつけなければ七千五百円。なんてこったい。

 

 お得なプランの訳は、どうやら西日本で有名な「湯快リゾート」にオーナーが変わったからのようだ。
 調べてみると、蘭風は景観と温泉の良さで海外客を集めてきたが減少傾向が続き、熊本地震で宿泊キャンセルが相次いだことにより立ちいかなくなって、2016年10月、蘭風という名称を残し、従業員八十名を継続雇用する条件で買収されたそうだ。

 仰天状態から立ち直ると、あとさき考えずダボハゼのように食いついてついつい予約してしまった。
 今回の九州旅に平戸泊なんてまったく予定していなかったが、こりゃあの「目玉」としてスケジュールにぶっこまざるを得なくなったぞ。あはは、のは。メチャ嬉しい誤算である。

 

 チェックインして鍵を受取ると、エレベーターを使って上階で降り、ドアの番号を確認して部屋に入る。広さに驚いた。右手にツインのベッド、左手に畳の部屋、ソファーセットに、広い窓の外にはバルコニーがあった。
 いつものように電光石火で着替えると、エレベーターと小走りで大浴場に向かったのだが、部屋からの大浴場までの距離がとにかく長い。足が悪かったり弱っていたりする人にはかなりしんどいだろう。

 

 日帰りの客もいるせいなのか、広い浴場なのにどの浴槽にも先客が多すぎて画像取得は断念した。
 大浴場の上階にある、西日本最大級の広い露天風呂からの眺めはなかなかのものであった。
 ただわたしの記憶では、このホテルは平戸島唯一の自家源泉で、ハウステンボス温泉と同じく長崎では珍しい濁り湯温泉だったはずが無色透明な薄口の温泉であった。温泉好きには真に残念無念だが、オーナーが変わり維持費削減のために濾過循環にしたのかもしれない。

 部屋に戻ると、ハタと思いついて、水割りをつくりグラスを持ってバルコニーで呑むことにした。おいおい、飲み放題の時間まで待てないのかよ、というツッコミは無視だ。

 

 山の端に陽が沈むのをゆっくり眺めながらの一杯はなんとも浮世離れしていて、贅沢で格別なひとときである。

 


   ― 続く ―



    →「平戸千里ヶ浜温泉」の記事はこちら
    →「ハウステンボス温泉(1)」の記事はこちら
    →「ハウステンボス温泉(2)」の記事はこちら
    →「ハウステンボス温泉(3)」の記事はこちら


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