温泉クンの旅日記

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続・洞爺湖温泉(2)

2019-10-20 | 温泉エッセイ
  <続・洞爺湖温泉(2)>

 エレベータで地階まで降り、突きあたりにある大浴場を目指して長い廊下をずんずんと突き進む。

 

 廊下の右側に細長い宴会場があり、覗くと夕食の配膳の準備中であった。入口に掲示してある黒い板に貼られた紙に「十和田市立 XX小学校 夕食会場」と書かれていた。
 そういえばたしかフロントで、十和田からの小学生たち男女六十名くらいが夜の七時から一斉に温泉に入る、と言っていたのを思いだす。であるからその時間帯の利用はできるだけ避けて欲しい、ということを婉曲に表現したのだろう。

 

 辿り着いた更衣室に幸い先客は誰もいなかった。洞爺湖温泉は積極的に日帰り湯をやっているので、チェックイン時間前だが、日帰り客はいるものと覚悟していたのだ。

 

 宿自慢の、湖が見えるパノラマ大浴場である。
 まずは掛け湯をして、濾過循環しているだろう透明な湯にサクッと身体を沈め温める。

 

 外にでると中くらいの庭園露天風呂が二つあった。

 

 いかにも源泉と思わせる、濁り湯である。

 木の間隠れに青い湖面が見える。
 温泉の匂いは、一瞬温泉通を狂喜させ平常心を楽しくかき乱すが、次いですぐに心を落ちつかせて沈潜させてくれる。
 わたしなどのような単純な温泉好きにはありがたい濁り湯だが、湯の中が見通せず脚元に不安を感じて敬遠する温泉通もいるのはもったいない限りだ。
 旅前に左膝に軽い違和感があったので、効きそうな濁り湯の中で身体の力を抜き、膝をゆっくりと曲げ伸ばしする。

 

 

 パノラマ大浴場の国道側にある洞窟風呂は、秘湯の雰囲気というが、ちょっと息がつまりそうな感がある。
 洞爺湖温泉の開湯だが、いまから百年前に湖岸で源泉が発見された。明治新山の噴火活動によって誕生されたものと考えられている。開湯当初は「床丹(とこたん)温泉」という名前だったが、やがて湖名の「洞爺湖温泉」に変わった。
 泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉、泉温は五十度ちょうどくらいである。

 

 洞窟の奥のドアを開けると、小さめな露天風呂があった。
 こちらも源泉っぽいが、見晴らしがちょいと悪いのが難点だ。

 

 やはり、この宿では湖に面した露天風呂が一番良いようである。締めにもう一度入ることにした。
 とにかく温泉はわたしの唯一の健康法なのである。
 いまでも銭湯でレトロな体重計をみかけることがあるが、あの丸い目盛の、十二時を指している針が正常な健康状態とすると、人は日々溜まる疲労とストレスでいつしか針が左右どちらかに振れていく。その振れた針を正常な中立(ニュートラル=健康)の位置に戻してくれるのが、温泉の効能なのだ。これこそが温泉の功徳である。

 

 小学生たちが花火前に独占するようだから、今日もう一度温泉に入るなら花火のあとになるだろう。
 それにしても、十和田湖からの遠足とはずいぶん遠い・・・なあ。でも、青森から新函館北斗まで新幹線を使えば道南の洞爺湖など思ったより近いのかもしれない。


  ― 続く ―



   →「続・洞爺湖温泉(1)」の記事はこちら


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