温泉クンの旅日記

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続・洞爺湖温泉(3)

2019-10-27 | 温泉エッセイ
  <続・洞爺湖温泉(3)>

 煙草の煙の換気のために細く開けておいた窓から、風に乗ってさざめきが入りこんできた。
 グラスを置いて煙草を手に立ちあがり窓に近寄ると、下方から、低いが力強いモーター音に雄叫びと嬌声が混じって聞こえる。
 あのスワンボートだな・・・。次々グループに分かれた団体客連中が借りだして、湖に乗り廻し始めたようだ。子どものようにはしゃいでいかにも楽しそうである。ちょっぴりうらやましい。

 時間になったので、夕食会場のレストランに向かった。

 

 てっきりバイキングかと思ったら違った。簡素な夕食のラインナップだが文句はまったくない。首都圏のビジネスホテル素泊まりくらいの料金の八千円也で、温泉、レイクビューの広い清潔な部屋、二食付き、花火付きだ。これが冒頭にコスパー抜群と書いた所以である。

 

 テーブルの上のメニューによれば、刺身はインド洋産鮪、チリ産サーモン、イカ、甘海老、煮物が炊合せ、洋皿には海老具足煮、豚しゃぶサラダ、サーモン竜田揚げだ。
 それに蒸し物が茶碗蒸し、鉄板には豚肉のちゃんちゃん焼き、酢の物、山菜なめ茸おろし和えと並ぶ。
 御飯は鶏釜飯、香の物、味噌汁、そして甘味である。
 飲み物はといわれ、冷酒を頼んだ。

 

 

 客を待たずに火を入れたようで釜飯は炊きあがっている。せっかくの熱い出来たての釜飯なので、この際順番無視で、茶碗によそって食べてしまうことにした。

 

 別銘柄の冷酒を追加して呑んでいると、ちゃんちゃん焼きもちょうど食べごろになる。

 

 食事会場を先ほどからそれとなくみていると、韓国から来ている客はあまりいないようだ。
 日本が行った韓国への輸出管理強化から始まった日韓関係悪化で、観光分野でも訪日客が激減、ついには前年同月比で半減にまで落ち込んでしまった。北海道も例外ではない。
「韓国からの観光客が減っているらしいけど、こちらの宿は影響ないのですか」
 さきほど、宿の真ん前にあるセイコマートに煙草を買いに出かけた時に、外にいたホテルマンに訊いてみた。
 ここのホテルは、外国語での接客は中国語と英語がメインで、韓国語の言語対応が不十分なためもともと韓国からの客が少ないのであまり影響はない。ただ韓国からの宿泊客に偏っていたホテルはいま大変な状況だ。洞爺湖の観光地全体としていえばたしかに減っているので心配であるとのことだった。

 部屋に戻ると部屋を暗くして、ローカルニュースを観ながら、焼酎の水割りをペースダウンして呑んで花火開始を待つことにした。食事の始めに、いきなり釜飯二膳食べたせいか酔いの回りが遅いようだ。
 ドーン、という音が真っ暗な湖から聞こえた。

 

(よし、いよいよ始まったな!)

 

 素早くグラスを片手に移動し、窓辺にどっしりと陣取った。

 

  ― 続く ―


    →「続・洞爺湖温泉(1)」の記事はこちら
    →「続・洞爺湖温泉(2)」の記事はこちら


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