温泉クンの旅日記

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十条・赤羽、ホンキートンク三軒(1)

2015-06-10 | 食べある記
  <十条・赤羽、ホンキートンク三軒(1)>

 一流ホテルのピアノバーに凝っていたのも今は昔、最近はホンキートンク(米俗語で「安酒場」の意味)な酒場にすっかりハマってしまっている。そういえば、ローリングストーンズに「ホンキートンク・ウィメン」というヒット曲があったな・・・。すげぇー懐かしい。



 東京駅で用事を済ませ京浜東北に乗り、東十条駅で降り、南口から演芸場通りをまっすぐ十条駅方面に歩く。



 人気役者の芝居でもあるのだろうか、演芸場の切符売り場前では客が長蛇の列をつくっていて、テレビクルーがそれを撮影していた。



 十条銀座入り口にある、わたしの目当ての店「天将(てんしょう)」が開店しているのをみて、まずはホッとする。「田や」の帰りに寄ったら営業時間終了で間に合わず、次に午後半休をとって行ったら運悪く臨時休業で、なんと今回が三度目のチャレンジである。

 店に入ると、七割がた埋まっていた。入ったすぐ前、真ん中に十人くらい座れる長テーブル、右側に小上がりの座敷がありそこに四人掛けが二卓、左側に六人掛けテーブル席が二つある。
 入ってすぐ左のテーブルには予約でも入っているのだろうか、コースターが並べられていた・長テーブルの空いた席に座り、玉露割りを注文する。

(つまみ・・・は、とりあえずウィンナーにするか)
 通りかかったママに頼む。
(あれっ、このママさん誰かに似ているぞ!
 誰だっけか。まだ酔いの廻っていない頭をフル回転させる。そうか、大食いのタレント・・・ギャル曽根だ。眼鏡をかけて十歳くらい老けさせれば。二代目か三代目なのだろう、なかなか切り盛りと客あしらいが上手である。



 もともと一杯目はゆっくり時間をかけて呑むほうなのだが、濃すぎる玉露ハイでさらに時間が掛ってそろそろ次の飲み物の注文を考えていたときだ。焼酎は大五郎のような甲類の一種類、酒は大関だけと品揃えが貧弱すぎる。
 コースターが置かれていたテーブルに三、四人の小学生を連れた常連らしい客でついに満員となった。

 チョット前に入ってきたリュックを背負った若者とギャル曽根が、小上がりの女性客三人に話しかけている。
「これからテレビ撮影が入りますが、映してかまわないでしょうか」
 小上がりの女性客の了承をとりつけ、長テーブルの客に同じ質問をした。わたしの前の客は「厭だなあ、迷惑だ」といい、わたしは「顔をボカしてくれるならいいよ」と答えたのだが、「すぐ済みますから」と押し切ろうとする。どうやらテレビ東京の土曜夜の人気情報番組らしい。

 わたしは画像を撮るのは好きだが、自分が撮られるのはまっぴら御免である。しかも昼間から能天気に超アウェイで呑んでいる素顔の画像など流されたらみっともない。
 いまいる客の殆どは店側の仕込みかもしれないな。なんとなくそんな気がしてきた。事前アポが入って、常連客を満遍なく年代別に仕込んだようだ。

 ふむ、かなり気にいらない。出よう。
 同じように厭がった前の客だが、注文した品がきたばかりだから泣き寝入りするしかないだろう。
 ウィンナーを二本残したのと、シメに決めていたチキンライスに未練が残るが勘定をしてもらった。入り口でテレビクルーとすれ違い、「あれ、さっき演芸場にいた連中じゃんか」と思わず声に出してしまう。

  ― 続く ―


   →「十条の鯖燻(1)」の記事はこちら
   →「十条の鯖燻(2)」の記事はこちら
   →「十条の鯖燻(3)」の記事はこちら


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