<読んだ本 2014年3月>
恥ずかしながら鞄のなかにチョコレートを忍ばせている。
「猫の舌」というチョコレートだが有名なデメルのではなく、デメルの職人頭が起こした製菓会社「レシェンツ」製である。いわゆる日本でいう暖簾分けなのかもしれない。
バレンタインにいただいたひとつで、食べてみたら「超ビター」な味なので辛党なのであるのに気にいってしまったのだ。ほろ苦いというより、ほろ甘いのだ。呑みすぎで帰る電車のなかで、眠気覚ましに重宝している。
一層五本の猫の舌チョコレートが四層で、二十本入っている。週に一個か二個しか食べないのでなかなか減らないが、暖かくなるまえ、四月中には食べきる予定である。
上毛高原駅を出て、すぐ左手にみなかみ町観光センターがあるのだがそこで「生大福」と再会した。
以前、谷川温泉の宿の売店でばら売りを二個買って、車のなかで食べたのだが滅茶苦茶に美味しかった大福である。
大きさはピンポン玉をひと回り小さくしたぐらいの冷凍大福である。
駅のなかでも二店舗売っていたが、ばら売りはしていなかった。観光会館ではばら売りでなおかつ食べごろに解凍してあるのが、なんとも嬉しい。箱で買いたいのだが、旅の途中なのだ。
また、二個買ってしまった。すぐに一個を食べて、もう一個は夜にでも宿で食べるつもりである。
一個で百四十円は一見高いようだが、食べてみればその価値がわかる。絶対に忘れられない一品になるだろう。
生クリームを上品な餡でくるみ、さらさらした肌触りの極上の餅が包んでいる。ひと口食べれば、三味が一体となって口中に広がり、あまりのたまらない美味しさに嫣然と笑みが浮かんでしまう。
この大福、大袈裟でなく究極至高の味といっていい。水上あたりを訪れたらぜひお試しを。たぶん道の駅でも売っているはずである。
さて、今月に読んだ本ですが、3月はすこぶる低調の5冊、累計で20冊です。
1.○シャドウ・ストーカー ジュフリー・ディーバー 文芸春秋
2.○冬芽の人 大沢在昌 新潮社
3. ◎火天の城 山本兼一 文春文庫
4. ○弾正の鷹 山本兼一 祥伝社文庫
5. ○狂い咲き正宗 刀剣商ちょうじ屋光三郎 山本兼一 講談社文庫
「シャドウ・ストーカー」は○印の上、といったところか。
通常の会話で相手のボディランゲージのベースラインを掴み、そうして肝心の質問繰り出して反応から真偽を見究める・・・「キネシクス」と呼ばれる動作学を捜査に用いる「キャサリン・ダンス」シリーズの最新作だ。
かなり面白かったが、同じ作家の、微細証拠物件から犯人を追い詰めたり犯行を予測する「リンカーン・ライム」シリーズのほうがわたしの好みだ。
あるいは、最近はまっているテレビドラマ「クリミナル・マインド」のプロファイリングという犯罪の性質や特徴から犯人を推論する手法も好みで、それに比べるとキネシクスは緊迫感にとぼしくどうにも少しかったるい。
「火天の城」は、織田信長に命じられ安土城を建てる大工の話と知ってはいたのだが、ようやく読む気になったら、これが重厚で精緻な実に読み応えのある小説でいかにも面白かった。力作である。
壮大な天守を支える通し柱の材木を総棟梁が執念で探しまわり、ついに伊勢神宮の式年遷宮用の大檜を見つけ出す。
さすがにその八間の長さの大丸太をみた木挽頭が総棟梁にいう。
「正直なところ、わしはあの丸太を見とると、逃げだしとうなるんじゃ」
「そんなものかな。どうしてだ」
「木目を数えてみたのよ。いっとう太いのが二千五百八十三本、あとの二本が二千四百六十七本と
二千四百三十二本だ。年輪の数でいえばな、もっと太いのを挽いたこともある。それでもこの檜は
特別だ。まるで違うとる」
「やはり神罰が気にかかるか」
大丸太が伊勢神宮の御備木であることは、庄之助に話してある。
「そのことではない。御遷宮に使うかどうかは、所詮、人の世で決まったこと。木に関わりはない。
それより、これを見てくれ」
取り出したのは、六尺四方はある大きく薄い雁皮紙だ。そこに、髪の毛ほどの線で、同心円が
隙間なく描いてある。円と円の間隔は、わずか一厘か。
・・・略・・・「そんなものあの檜に向き合うには、屁のつっぱりにもならぬ。一寸百目のこの線
で言えば、わしらの一生は、わずか五分じゃ」
二千五百年を生きる御神木ほどの檜に比べられると、人間の一生のなんと短きことよ・・・。
→「読んだ本 2014年2月」の記事はこちら
恥ずかしながら鞄のなかにチョコレートを忍ばせている。
「猫の舌」というチョコレートだが有名なデメルのではなく、デメルの職人頭が起こした製菓会社「レシェンツ」製である。いわゆる日本でいう暖簾分けなのかもしれない。
バレンタインにいただいたひとつで、食べてみたら「超ビター」な味なので辛党なのであるのに気にいってしまったのだ。ほろ苦いというより、ほろ甘いのだ。呑みすぎで帰る電車のなかで、眠気覚ましに重宝している。
一層五本の猫の舌チョコレートが四層で、二十本入っている。週に一個か二個しか食べないのでなかなか減らないが、暖かくなるまえ、四月中には食べきる予定である。
上毛高原駅を出て、すぐ左手にみなかみ町観光センターがあるのだがそこで「生大福」と再会した。
以前、谷川温泉の宿の売店でばら売りを二個買って、車のなかで食べたのだが滅茶苦茶に美味しかった大福である。
大きさはピンポン玉をひと回り小さくしたぐらいの冷凍大福である。
駅のなかでも二店舗売っていたが、ばら売りはしていなかった。観光会館ではばら売りでなおかつ食べごろに解凍してあるのが、なんとも嬉しい。箱で買いたいのだが、旅の途中なのだ。
また、二個買ってしまった。すぐに一個を食べて、もう一個は夜にでも宿で食べるつもりである。
一個で百四十円は一見高いようだが、食べてみればその価値がわかる。絶対に忘れられない一品になるだろう。
生クリームを上品な餡でくるみ、さらさらした肌触りの極上の餅が包んでいる。ひと口食べれば、三味が一体となって口中に広がり、あまりのたまらない美味しさに嫣然と笑みが浮かんでしまう。
この大福、大袈裟でなく究極至高の味といっていい。水上あたりを訪れたらぜひお試しを。たぶん道の駅でも売っているはずである。
さて、今月に読んだ本ですが、3月はすこぶる低調の5冊、累計で20冊です。
1.○シャドウ・ストーカー ジュフリー・ディーバー 文芸春秋
2.○冬芽の人 大沢在昌 新潮社
3. ◎火天の城 山本兼一 文春文庫
4. ○弾正の鷹 山本兼一 祥伝社文庫
5. ○狂い咲き正宗 刀剣商ちょうじ屋光三郎 山本兼一 講談社文庫
「シャドウ・ストーカー」は○印の上、といったところか。
通常の会話で相手のボディランゲージのベースラインを掴み、そうして肝心の質問繰り出して反応から真偽を見究める・・・「キネシクス」と呼ばれる動作学を捜査に用いる「キャサリン・ダンス」シリーズの最新作だ。
かなり面白かったが、同じ作家の、微細証拠物件から犯人を追い詰めたり犯行を予測する「リンカーン・ライム」シリーズのほうがわたしの好みだ。
あるいは、最近はまっているテレビドラマ「クリミナル・マインド」のプロファイリングという犯罪の性質や特徴から犯人を推論する手法も好みで、それに比べるとキネシクスは緊迫感にとぼしくどうにも少しかったるい。
「火天の城」は、織田信長に命じられ安土城を建てる大工の話と知ってはいたのだが、ようやく読む気になったら、これが重厚で精緻な実に読み応えのある小説でいかにも面白かった。力作である。
壮大な天守を支える通し柱の材木を総棟梁が執念で探しまわり、ついに伊勢神宮の式年遷宮用の大檜を見つけ出す。
さすがにその八間の長さの大丸太をみた木挽頭が総棟梁にいう。
「正直なところ、わしはあの丸太を見とると、逃げだしとうなるんじゃ」
「そんなものかな。どうしてだ」
「木目を数えてみたのよ。いっとう太いのが二千五百八十三本、あとの二本が二千四百六十七本と
二千四百三十二本だ。年輪の数でいえばな、もっと太いのを挽いたこともある。それでもこの檜は
特別だ。まるで違うとる」
「やはり神罰が気にかかるか」
大丸太が伊勢神宮の御備木であることは、庄之助に話してある。
「そのことではない。御遷宮に使うかどうかは、所詮、人の世で決まったこと。木に関わりはない。
それより、これを見てくれ」
取り出したのは、六尺四方はある大きく薄い雁皮紙だ。そこに、髪の毛ほどの線で、同心円が
隙間なく描いてある。円と円の間隔は、わずか一厘か。
・・・略・・・「そんなものあの檜に向き合うには、屁のつっぱりにもならぬ。一寸百目のこの線
で言えば、わしらの一生は、わずか五分じゃ」
二千五百年を生きる御神木ほどの檜に比べられると、人間の一生のなんと短きことよ・・・。
→「読んだ本 2014年2月」の記事はこちら
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