温泉クンの旅日記

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越後湯沢温泉(2)

2014-03-30 | 温泉エッセイ
  <雪國の宿(2)>

『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。・・・(略)・・・』

 中学生のころ、有名な文学作品の冒頭の文章をいくつか暗記したものである。川端康成の「伊豆の踊子」と「雪国」の冒頭はだからいまでも空でいえる。



 川端康成はこの高半の「かすみの間」で名作「雪国」を昭和九年から三年間かけて執筆した。
 宿の建物は建て替えられたが「かすみの間」は高半に残っている。



 湯沢にある歴史民俗資料館には「駒子」のモデルになった芸者「松栄」が住んでいた部屋が再現されているそうだ。



 朝、ベランダに出ると朝日が正面左側から昇ってきて「えっ、北はどっちだっけか」と、一瞬見当識を失ってしまう。



 冷たい大気が満ちる雪国の空の底を、翼をいっぱいに広げた鳶が円を描いて静かに滑空していた。

 昨日は夕方に送迎バスで街に送ってもらい、まずは一軒目の馴染の居酒屋の暖簾を潜った。高半は超老舗なのに肩肘張らない宿で、実にこまめに送迎をしてくれて嬉しい。



 刺身と、しばらくして追加注文したグラタンで、焼酎の水割りを一杯と次いで塩沢の名酒「鶴齢 雪男」を二杯ほどゆっくりと呑んだ。
 客を二、三組断るほど店が大繁盛してきたので、二軒めに決めていたラーメン屋へ移動した。

 ここでも「鶴齢」の冷やを特製玉子焼で二杯ほど呑んでいると、カウンターのなかの寡黙な店主になぜか気にいられて非売品の「鶴齢」を一杯ご馳走になってしまった。新潟市内の安兵衛と同じパターンである。理由はわからないが、わたしは新潟人の店主に好かれるのだ。



 味噌ラーメンで締めて、タクシーで宿に戻り軽く温泉にはいってから、さらに仕上げの酒を呑んでいつのまにか寝たのだった。

 バイキングの朝食後、しばらくしてから大浴場にいってみると先客は誰もいない。思ったとおり、みんなスキー場に出かけたのであろう。



 浴場の大きな窓の外は部屋と同じ方角の眺望だが、部屋のほうが高さがあるので鮮明な景色である。



 ぎりぎりの時間まで存分に「卵の湯」を楽しんで、そして部屋に戻ったら景色を心に刻んでからチェックアウトすることに決めた。


  →「雪國の宿(1)」の記事はこちら
  →「牧之通り」の記事はこちら

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