温泉クンの旅日記

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宮島口のあなごめし

2019-05-19 | 食べある記
  <宮島口のあなごめし>

 安芸の宮島にはたぶん四、五回はいっているだろう。
 宮島に渡ると、表参道商店街(清盛通り)に土産物屋や食事処が連なっていて、通りに漂う焼き牡蠣の旨そうな匂いに鼻孔を直撃され、同時に食欲中枢の六弦すべてをジミヘンばりに掻きならされる。とどのつまり、素通りできずに殻つきのやつを三、四個、はふはふいってパクついてしまう。残念ながらの酒なしでもだ。

  

 そしてさらに、生やら焼き立てやら揚げやらのもみじ饅頭もつい食べることにあいなって、名物といわれる<あなごめし>に辿り着くことはわたしには難しかった。

 そこで今回、宮島観光を投げ捨てて「名物」だけを目的にいってみることにしたのだ。

 

 九州自動車道の古賀サービスエリアで九州土産を最終調達すると、フローズンヨーグルトを売っているショップをみつけ、二日酔を醒ますために買ってみる。食べながら、数日前の予約時に「うえの」から依頼されていた当日の到着予定時刻を連絡した。

「うえの」の<あなごめし>は創業明治三十四年(1901年)宮島口駅で駅弁として販売して百十余年を超える。

 

「あっ、お客さま!」
 宮島口駅前の交差点のところにある「うえの」の暖簾を勢いよく潜って店に入ったところで耳元に声がかかった。店内には満員の客が入っていた。
 怪訝そうに見返したわたしにレジ横の女店員が、
「申し訳ありませんが本日は通常の食堂営業はお休みで、お弁当のみの販売になっております」
 なるほど。どうやら弁当を買った客に店内のスペースを提供しているらしい。
「その弁当を電話で予約したのですが・・・」
 店の入口横の窓口で名前を申し出て、待つほどもなく弁当を受取った。弁当のレギュラーサイズ代金は1,944円、二千円を支払いパラパラの小銭が返ってくる。
(どひゃあ! 高い弁当だなあ・・・)

 

 店内で弁当を使うのをあきらめ、車に戻り高速のサービスエリアを目指す。走る車内に、出来たての弁当のたまらなくいい匂いが満ちてきて、こちょこちょ食欲中枢をくすぐられ、たまらず手近のパーキングに飛び込んだ。

 風情たっぷりの古典的な経木の弁当箱に、炭火でじっくり香ばしく焼きあげたあなごが整然と見事に敷き詰められている。

 

 直焼きなのだが思ったよりふっくらしていて、噛むと上質な脂とあなごの旨みが広がる。
あなごのアラでとった出汁で炊いたちょい固めのご飯は、あっさりしているがこちらも味が沁みこんでいていかにも風味というかコクがある。
 我ながらあきれるほどの猛烈な食べっぷりだったが、半分越えたあたりで速度が落ちてくる。それぞれ別に食べると気にならないが、アナゴとご飯を一緒に口に入れていると不思議とほんの少し甘く感じる。

 

 ご飯の甘味が薄くても苦手のわたしは、付け合わせに添えられた奈良漬、生姜、たくわんの助けをかりて口直ししながら食べきった。

 弁当で二千円・・・は、駅弁界で味も値段も優等生である「シウマイ弁当(860円)」をそれこそしょっちゅう食べる浜ッ子(わたしだけかもしれないが)にはいかにも「贅沢値段」で高すぎる。

 

 でも、いささか味に単調のきらいがあるが、とにかく満足できた。入手困難なこの名物「あなごめし」をスンナリ食べられてよかったと、いまは素直に思う。

  注)2019年4月17日から弁当レギュラーはなんと値上がりして 2,160 円となっていた


   →「安芸の宮島(1)」の記事はこちら
   →「安芸の宮島(2)」の記事はこちら
   →「安芸の宮島(3)」の記事はこちら



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