<幸せの黄色いカレー>
週に一度はカレーを食べたくなる。
その店は深谷にある。
深谷駅から歩いて四、五分といった近さだ。
伊勢屋食堂。
なんとも昭和レトロな感じがぐっとくる。
昭和十三年創業で、現在は二代目が厨房を仕切っている。東京の伊勢屋総本店から暖簾分けされたころは、だんごとラーメンが売りの店だったらしい。
入り口の脇にはおにぎり、寿司なども置いてあった。
引き戸を開けて店にはいると、ほぼ満員であったが相席で座ることができた。
「ラーメンとカレーをください」
この店でふたつ注文するときは、この順番で注文したほうがいい。なぜなら<カレーラーメン>が品書きにあるからである。カレーライスと丁寧にいったほうがいいかもしれない。
いまやどの家庭でもカレーライスは定番になっているのではないだろうか。カレーがまだ初期のころ、たしかSBのカレー粉を使ってカレーをつくるのだが、とろみをつけるために小麦粉を混ぜてつくっていた。
できあがったカレーは現在の褐色系とは違って黄色い色をしていた。
この店のカレーがほぼそれに近い。
とにかく一番人気なのである。いまいる客だけでもほとんどの客がカレーかカツカレーだ。
ただし注文を受けてからつくるので、時間がかかる。だから待ちきれないわたしはラーメンも注文したのだ。
ラーメンをゆっくり食べ始める。スープは魚介系が強く、やさしい味は昭和レトロなこの店にバッチリ合っている。
きっといまごろは厨房の奥では、大きな中華鍋で豚コマ肉とザクザク切った玉ねぎを炒めてラーメンスープを加えて、カレー粉と小麦粉を手早く投入してしばしお玉で掻きまわしながら煮込んでいるのだろう。
ああ、なんとも待ち遠しい。きっと周りの客も同じ思いであることだろう。
おおっと、出来あがったらしく配給がはじまった。
(それ、俺のか。ようやくだな・・・)
そう思った、首を長くした客の顔の横を、カレーが残念ながら通り過ぎていく。
あくまでも配給は注文順である
(ラーメン頼んどいて良かったわい)
ラーメンをゆっくり半分ほど食べた頃に、ついにわたしにもカレーライスが届いた。
ひとくち食べる。
うん、これだ!
そうそう、あの頃はこんなんだった・・・涙がでてきそうに懐かしい味である。ただしジャガイモは入っていない。
カレーをパクパク、箸やすめにときどきラーメン。
ラーメンとカレーでピッタリ千円也。
懐かしさも腹いっぱい味わえて安いものだ。
なんかこう、この幸せな気分はなんだろう。
高校時代、学校の食堂ではラーメンとカレーライスが食べられた。それ以外のメニューと営業時間などはまったく思いだせない。
食べ盛りとはいえタダではないから両方頼めず、どちらかを選ばなければならない。
あるとき、生徒のひとりが無理をいった。
「おばちゃん、大盛ラーメンにそのカレーをのっけてくれる?」
このころカレーラーメンをメニューに載せている店はなかった。
「あいよ」
おばちゃんが出来上がったラーメンに、大きな寸胴鍋からカレー汁をひと掬いかけてくれた。
その生徒が旨そうに食べているので、わたしも試したらこれがけっこうイケるのだ。これは学校中の男子生徒に流行ったのである。
そんなわけで、いまでも残ったカレーをラーメンにのせて食べている。ちなみにラーメンは即席麺の醤油味がばっちり合ってよろしい。
どうやら、この店は同じ作り方をするようである。
よし、次はカレーラーメンを頼むとするか。
週に一度はカレーを食べたくなる。
その店は深谷にある。
深谷駅から歩いて四、五分といった近さだ。
伊勢屋食堂。
なんとも昭和レトロな感じがぐっとくる。
昭和十三年創業で、現在は二代目が厨房を仕切っている。東京の伊勢屋総本店から暖簾分けされたころは、だんごとラーメンが売りの店だったらしい。
入り口の脇にはおにぎり、寿司なども置いてあった。
引き戸を開けて店にはいると、ほぼ満員であったが相席で座ることができた。
「ラーメンとカレーをください」
この店でふたつ注文するときは、この順番で注文したほうがいい。なぜなら<カレーラーメン>が品書きにあるからである。カレーライスと丁寧にいったほうがいいかもしれない。
いまやどの家庭でもカレーライスは定番になっているのではないだろうか。カレーがまだ初期のころ、たしかSBのカレー粉を使ってカレーをつくるのだが、とろみをつけるために小麦粉を混ぜてつくっていた。
できあがったカレーは現在の褐色系とは違って黄色い色をしていた。
この店のカレーがほぼそれに近い。
とにかく一番人気なのである。いまいる客だけでもほとんどの客がカレーかカツカレーだ。
ただし注文を受けてからつくるので、時間がかかる。だから待ちきれないわたしはラーメンも注文したのだ。
ラーメンをゆっくり食べ始める。スープは魚介系が強く、やさしい味は昭和レトロなこの店にバッチリ合っている。
きっといまごろは厨房の奥では、大きな中華鍋で豚コマ肉とザクザク切った玉ねぎを炒めてラーメンスープを加えて、カレー粉と小麦粉を手早く投入してしばしお玉で掻きまわしながら煮込んでいるのだろう。
ああ、なんとも待ち遠しい。きっと周りの客も同じ思いであることだろう。
おおっと、出来あがったらしく配給がはじまった。
(それ、俺のか。ようやくだな・・・)
そう思った、首を長くした客の顔の横を、カレーが残念ながら通り過ぎていく。
あくまでも配給は注文順である
(ラーメン頼んどいて良かったわい)
ラーメンをゆっくり半分ほど食べた頃に、ついにわたしにもカレーライスが届いた。
ひとくち食べる。
うん、これだ!
そうそう、あの頃はこんなんだった・・・涙がでてきそうに懐かしい味である。ただしジャガイモは入っていない。
カレーをパクパク、箸やすめにときどきラーメン。
ラーメンとカレーでピッタリ千円也。
懐かしさも腹いっぱい味わえて安いものだ。
なんかこう、この幸せな気分はなんだろう。
高校時代、学校の食堂ではラーメンとカレーライスが食べられた。それ以外のメニューと営業時間などはまったく思いだせない。
食べ盛りとはいえタダではないから両方頼めず、どちらかを選ばなければならない。
あるとき、生徒のひとりが無理をいった。
「おばちゃん、大盛ラーメンにそのカレーをのっけてくれる?」
このころカレーラーメンをメニューに載せている店はなかった。
「あいよ」
おばちゃんが出来上がったラーメンに、大きな寸胴鍋からカレー汁をひと掬いかけてくれた。
その生徒が旨そうに食べているので、わたしも試したらこれがけっこうイケるのだ。これは学校中の男子生徒に流行ったのである。
そんなわけで、いまでも残ったカレーをラーメンにのせて食べている。ちなみにラーメンは即席麺の醤油味がばっちり合ってよろしい。
どうやら、この店は同じ作り方をするようである。
よし、次はカレーラーメンを頼むとするか。
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