温泉クンの旅日記

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読んだ本 2014年2月

2014-02-26 | 雑読録
  <読んだ本 2014年2月>

 京橋で人間ドックの受診を終えると、急ぎ足で八重洲の知っている喫茶店に向かった。
 朝起きてから煙草を吸っていないので今すぐにでも吸いたいのだが、京橋あたりのオフィス街では吸えそうな場所がまったく思いつかなかったからだ。
 それに前夜の九時からまったく食べていないので腹ペコである。
 席に座るなり煙草に火をつけ、珈琲とモーニングを頼んだ。



 珈琲を喫しながら立て続けに二本吸ったところでモーニングが到着。



 本当はもっと食べられるのだが簡単なトーストにしたのは、昼が近いからだ。
 喫茶店を出ると場所を移動して、空いていそうな小体な居酒屋にはいった。カウンター席でメニューをみていると刺身が早いというので刺身定食と、ついでに酒も一本注文した。
 ドック前の恒例である禁酒期間が明けたので、約一ヶ月ぶりのアルコールである。

「お客さん、悪いけど常温でいいかね」
 この時間帯、大将が一人で切り盛りしているようで、燗酒はできかねるようである。
「ぜんぜんかまわない、それで」
 厨房からグラスと一升瓶を持ってでてくると、わたしの目の前に置いて注ぎはじめる。いつもなら一升瓶の銘柄をみるのだが、グラスに注がれる酒に釘付けになってしまう。



 グラスに口からお迎えにいって、ぐびりと呑む。ついで手に持ってもうひと口呑むと、喉から腹に落ちた酒がなんとも身体に沁みわたっていくのがわかる。
 まるで、映画の「幸福の黄色いハンカチ」のワンシーンじゃないか。網走刑務所を出所して、すぐ駅前食堂に飛び込みビールとカツ丼とラーメンを頼んだ高倉健みたいだな、と苦笑してしまう。
 三分の二ほど呑んで、ようやく普段の自分に戻れた気がして「ふぅーっ」と長い安堵の溜息をこっそりとついてから、おもむろに刺身定食にとりかかったのであった。

 11月末に突然始めたウォーキングの報告を備忘録として記しておこう。
 昨年末までに22日間の出勤で17日間の実行、28回歩いて、累計徒歩距離が112キロとなかなか頑張って歩いた。
 正月の不摂生なのか寒さのせいなのか腰が痛くなって、正月明けからドック前までが23日間の出勤でわずか5日間の実行、5回歩いて徒歩距離は20キロと不甲斐ない結果となった。なお、コトリパンのほうは順調で、計40個も食べた。
 ドックの問診票には「運動しています」と胸を張って印をつけたのだった。

 さて、今月に読んだ本ですが、今日8冊目を読み始めたのですが月末までに楽勝に読み切れるので、2月はまずまずの8冊として、累計で15冊です。

 1.◎レイク・クローバー            楡周平 講談社
 2.○プリズンホテル 4春           浅田次郎 集英社文庫
 3. ○薫風鯉幟 酔いどれ小藤次留書十      佐伯泰英 幻冬舎文庫
 4. ○偽小藤次 酔いどれ小藤次留書十一     佐伯泰英 幻冬舎文庫
 5. ◎うず潮のひと               高橋治 講談社
 6. ◎色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹 文芸春秋
 7. ○黒書院の六兵衛  下           浅田次郎 日本経済新聞出版局
 8. ○転び者(もん) 新古着屋総兵衛影始末六  佐伯泰英 新潮文庫

「レイク・クローバー」は、致死率100%の未知の寄生虫病の話で、本を読んでいる間はなんとなく刺身を敬遠してしまった。ミャンマーの僻地と米国原子力潜水艦が主な舞台になるのだが、原潜の登場にいささか無理があるような気がする。まあまあ面白かったのだが◎印は甘かったかも。

 奥湯元あじさいホテル、別名「プリズンホテル」はどのへんにあるのか。

  『かつては上州の名湯として殷賑を極めた町であった。二十年ほど前、国境の峰を
   隔てた向こう側一世を風靡した強権政治家が出現し、たちまち首都圏から一直線
   に選挙区を結ぶ新幹線と高速道路が引かれた。これは余禄に与るであろうと、
   住民たちが歓喜したのもつかのま、新幹線も高速道路も、アッサリとこの温泉町
   を通過してしまったのである。明らかにこちら側を選挙区とする政敵への
   いやがらせであった。』


 温泉好きのわたしは水上温泉あたりが舞台の地と睨んでいます。

「うず潮のひと」を読むのは二度目で、前回は、この「雑読録」を発信するようになる前の2007年の1月に読んだ本だ。
 究極のウニ作りを、千帆(主人公)に教え込む満州婆さんのさとは言う。

  『「人はね、生き方ば間違うなっていうよね。そいはそいで正しかよ。ばってん、
   千帆ちゃん、なんべんでも間違えなっせ。そいも人生ばい」』


 そして試行錯誤の結果、満足できるウニを千帆は作りあげる。

  『この量という、剃刀の刃を渡るような際どい塩加減を見つけ出して、冷蔵庫に
   保存すれば、腐らない、味が落ちないウニを作るのに成功した・・・(略)・・・』


 保存料を使わない瓶詰めウニをご飯にのっけて喰ってみたい。はるか遠いが天草の牛深に行ってみたくなってくる。

 昨年の四月に予約したのだが、あれから十カ月、やっと順番がきて村上春樹の本を読めたのだった。

  『・・・(略)・・・人の心は夜の鳥なのだ。それは静かに何かを待ち受け、時が
   来れば一直線にそちらに向けて飛んでいく。・・・(略)・・・』


 名文美文で困ったが、この短いところが一番釘付けになってしまった。


  →「朝ウォーキングと深川焼きたてパン」の記事はこちら
  →「読んだ本 2014年1月」の記事はこちら


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