温泉クンの旅日記

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犬吠埼温泉(3) 千葉・銚子

2016-01-17 | 温泉エッセイ
  <暁の宿(3)>

 夕食はわたしの苦手な部屋食であった。
 酒のほうが進みだすと、ついつい出された料理をおつまみ程度にしか食べなくなる。「お口に合わなかったでしょうか」とかなどと言われて言い訳を考えるのも面倒なのだ。その点、適当に切り上げて腰をあげられる食事処のほうが気楽である。
 今宵は酒を多少加減して食に力を入れなければなるまい。

 前菜は姫栄螺蒸し煮、子持若布、蟹煮凍り、烏賊塩辛、鴨福砂焼、牛肉八幡巻である。



 造里は鰤、鮪、鯛、烏賊で、いかにも熱燗にぴったり合いそうだ。
 海に近い宿の刺身はなんとなく安心できる。海なし県の宿で出される海の幸は宿賃が高ければ上物が供されるが、わたしのような宿賃クラスでは箸が躊躇するような刺身が多いのだ。
 火の台は、来る途中のあちこちの畑で見かけた犬吠埼冬キャベツと海鮮卸し鍋だ。



 蒸し物は玉地蒸し、海老芋、人参、南瓜、海老、蟹。滅多に茶碗蒸しを食べないのだが、海老と海老芋、それに蒸しあがりの表面の照り具合が旨そうでぺろりと食べてしまう。
 揚げ物は鮟鱇の唐揚げ、銀杏豆腐、三色パブリカ。レモンを絞り抹茶塩でいただく。



 煮物は鰈の煮付け、焼き豆腐、青味、プチトマト。肉厚の鰈だが丁寧に煮付けられていて、上品で控えめな甘みは酒より芋焼酎のほうが合いそうだ。
 ご飯と香の物盛り合せ、赤出汁。



 添えられている炒ったじゃこがなんとも嬉しい。こいつをご飯に載せて食べれば誰でも二杯は軽くいけるだろう。
 最後の水菓子は苺、キウイ、生クリーム、チョコレートケーキ。酒を抑えたせいもありなんとか格好がつくぐらいの量を食べられて安堵する。

 暁を見てから冷えた身体を温泉で温めると、部屋の窓辺で朝茶をゆっくりと喫する。目の前の海は朝の陽光で煌めいている。



 宿泊者が朝食会場に向かう時間を狙い、今朝二度目の、締めの温泉にはいることにした。
案の定、誰もいない。内湯で掛け湯をしてからまっすぐ露天風呂に向かう。





 朝湯は食欲も増すのである。



 朝食は海辺の宿らしい品がひと通りならんだが、干物をみて眼を剥いた。
 秋刀魚の干物は馴染み深いが宿の朝食にはジツに珍しい。鯵、カマスとかエボ鯛とかいろいろ食べたが秋刀魚は初めてだ。



 一度火を通してあるので網の上で軽く炙って食べたが、朝飯にはもってこいのおかずであった。

 大海原に昇る日の出を久しぶりにじっくりと拝め、よく食べよく呑み、爽快な気分転換ができた温泉宿だった。



  →「暁の宿(1)」の記事はこちら
  →「暁の宿(2)」の記事はこちら

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