<千貫石温泉(2) 岩手・金ヶ崎>
見えるのは田園風景ばかり、静かな露天風呂にただ独りである。
内湯そして露天風呂と、ひと通り済ませて気分が落ち着くと、ふつふつと今日の大失敗を思い起こして自分に腹が立ってしまう。
「チャンチャカチャンチャン、チャチャッチャンチャン。ちゃんとバスの時刻表を調べてあったのにいィ~週末土日は運休でしたあァ~ チッキショー!」
誰もいないのを幸いに、得意(誰もしらないが)の“コウメ太夫”に突然変身してしまった。(しかも湯の中で、振りまで付けて)
東北本線金ヶ崎駅には、予定通り14時前に到着した。
平成十六年(2004年)改築された、けっこう真新しく立派な駅舎には農協が入居していて、少なくても売店くらいありそうな雰囲気だが、飲料の自販機しか設置されていない。
金ヶ崎駅から千貫石温泉まではワンコインバスで15分、時刻表では14時22分発、その次が16時43分とちゃんと調べてある。
(待てよ。いま居るのは東口だけど、まさかバスは逆の西口からで、早め到着したのに間一髪で乗り遅れてしまうなんてことはないだろうな・・・)
たまに周りにいるだろ、気が利いて間が抜けるっていう可哀相なヤツ、そんなのになりたくない。訊くひとも見当たらないし、宿に電話で確認してみよう。
たしか「名所案内」に千貫石温泉まで13キロと書いてあった。徒歩であれば、まったくの平地で1時間で5キロ、坂を含むと4キロといったところだから、所要時間は2時間半から3時間は覚悟しなければならない
「本日そちらに宿泊予定の者です。いま金ヶ崎駅にいるのですが、ワンコインバスといのは『東口』のほうから乗ればいいのですか?」
「ありがとうございます。東口からで・・・あ、ちょっとお待ちください。本日は土曜日ですのでバス運行は申し訳ありませんがございません。こちらでタクシーの手配をいたしましょうか?」
そういえば、目の前にタクシー乗り場があるが、さっきから一台もみていないぞ。
「すみませんが、よろしくお願いします!」
運転手がなぜか上機嫌でタクシーを飛ばし、宿に到着すると、チェックイン時間(16時)にはだいぶ早いのに可哀相と思ったのか、すぐに受け入れてくれたのだった。
露天風呂に客がきたのを汐に、建物中の小さい内湯が誰も入っていなかったので仕上げの湯として堪能する。
岩手はどこもかしこも禁煙ばかり。二階の喫煙室に寄ってから同じ階の自分の部屋に戻る。
画像撮る気が失せるほど年季が入った部屋は、トイレ付の和室10畳。夕食の料理控えめの特価、一泊二食で9,950円。
宿代が格安なのに、タクシーが片道3,500円チョットだったから(クソッ!)往復7、000円強で、こいつは「噴飯もの」でごぜえやすだ。
旅好きの飲み仲間にうっかりこの話をしようものなら、「そんなん、遠い宿はさっさとバッくれて15,000円くらいの駅近の宿に変更しちゃえばよかったのに」と傷口に塩を擦り込まれて猛烈に痛いわグウの音もでないわ、となる。これは秘匿の一手だ。
時間がきて、運ばれた夕食はたしかに控えめだった。でも呑み優先のわたしには丁度いい量で気が楽だ。
久しぶりに“コウメ太夫”のネタを披露した(観客なしだけど)ことだし、後悔や反省は放念して、刺身をアテにまずはゆっくり呑むことに専念しよう。
― 続く ―
→「千貫石温泉(1) 岩手・金ヶ崎」の記事はこちら
見えるのは田園風景ばかり、静かな露天風呂にただ独りである。
内湯そして露天風呂と、ひと通り済ませて気分が落ち着くと、ふつふつと今日の大失敗を思い起こして自分に腹が立ってしまう。
「チャンチャカチャンチャン、チャチャッチャンチャン。ちゃんとバスの時刻表を調べてあったのにいィ~週末土日は運休でしたあァ~ チッキショー!」
誰もいないのを幸いに、得意(誰もしらないが)の“コウメ太夫”に突然変身してしまった。(しかも湯の中で、振りまで付けて)
東北本線金ヶ崎駅には、予定通り14時前に到着した。
平成十六年(2004年)改築された、けっこう真新しく立派な駅舎には農協が入居していて、少なくても売店くらいありそうな雰囲気だが、飲料の自販機しか設置されていない。
金ヶ崎駅から千貫石温泉まではワンコインバスで15分、時刻表では14時22分発、その次が16時43分とちゃんと調べてある。
(待てよ。いま居るのは東口だけど、まさかバスは逆の西口からで、早め到着したのに間一髪で乗り遅れてしまうなんてことはないだろうな・・・)
たまに周りにいるだろ、気が利いて間が抜けるっていう可哀相なヤツ、そんなのになりたくない。訊くひとも見当たらないし、宿に電話で確認してみよう。
たしか「名所案内」に千貫石温泉まで13キロと書いてあった。徒歩であれば、まったくの平地で1時間で5キロ、坂を含むと4キロといったところだから、所要時間は2時間半から3時間は覚悟しなければならない
「本日そちらに宿泊予定の者です。いま金ヶ崎駅にいるのですが、ワンコインバスといのは『東口』のほうから乗ればいいのですか?」
「ありがとうございます。東口からで・・・あ、ちょっとお待ちください。本日は土曜日ですのでバス運行は申し訳ありませんがございません。こちらでタクシーの手配をいたしましょうか?」
そういえば、目の前にタクシー乗り場があるが、さっきから一台もみていないぞ。
「すみませんが、よろしくお願いします!」
運転手がなぜか上機嫌でタクシーを飛ばし、宿に到着すると、チェックイン時間(16時)にはだいぶ早いのに可哀相と思ったのか、すぐに受け入れてくれたのだった。
露天風呂に客がきたのを汐に、建物中の小さい内湯が誰も入っていなかったので仕上げの湯として堪能する。
岩手はどこもかしこも禁煙ばかり。二階の喫煙室に寄ってから同じ階の自分の部屋に戻る。
画像撮る気が失せるほど年季が入った部屋は、トイレ付の和室10畳。夕食の料理控えめの特価、一泊二食で9,950円。
宿代が格安なのに、タクシーが片道3,500円チョットだったから(クソッ!)往復7、000円強で、こいつは「噴飯もの」でごぜえやすだ。
旅好きの飲み仲間にうっかりこの話をしようものなら、「そんなん、遠い宿はさっさとバッくれて15,000円くらいの駅近の宿に変更しちゃえばよかったのに」と傷口に塩を擦り込まれて猛烈に痛いわグウの音もでないわ、となる。これは秘匿の一手だ。
時間がきて、運ばれた夕食はたしかに控えめだった。でも呑み優先のわたしには丁度いい量で気が楽だ。
久しぶりに“コウメ太夫”のネタを披露した(観客なしだけど)ことだし、後悔や反省は放念して、刺身をアテにまずはゆっくり呑むことに専念しよう。
― 続く ―
→「千貫石温泉(1) 岩手・金ヶ崎」の記事はこちら
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