<昇仙峡(1)>
昇仙峡に来たのはこれで三度目である。
一度目と二度目はトテ馬車を使って楽チンにめぐった。今回はトテ馬車が出払っ
ているのか、姿がなかった。
雲ひとつない快晴である。そこで、歩くことにした。
昇仙峡は日本一美しい渓谷と言われているが、たぶん紅葉のころのことでまだ
二週間ほど早いようだ。
渓流沿いのアスファルト道路を歩く。全行程でだいたい四、五キロであるが、
なだらかな登り坂なので一時間ちょっとだろう。
巨岩奇岩がごろごろしている渓流で、ところどころの岩にその形から名前がつけ
られている。
たとえば亀岩とか猿岩とか松茸岩とかで、道の渓流ぞいにその名前を記した案内
板が立っている。最初のうち、フムフムなるほど・・・などと言っていたがあまり
の数の多さにいまではほとんど名前を覚えていない。
たしかにそう見えるものもあれば、名付け親の苦労はわかるがどう見てもそう
見えないものもある。
日差しがあるところは汗ばむほど暑いが、遮られたところでは涼しい。
上流のほうからトテ馬車がやってくる。
逞しい馬が荒々しい息を吐き湯気をあげながら近づいてきて、すごい迫力でくだ
っていった。
時計をみて、中間地点と思われる茶店でひと休みしてアイスコーヒーを飲んだ。
代金を払いながら、ついでに滝までの距離を訊いてみると、
「あと、半分ぐらいですがここからは楽ですよ」
とのことである。
なんとなく、出来すぎの回答のような気がした。山登りでへとへとになった初心
者が「あと、どのくらいですか」と訊いて、「もう、あとちょっとです」と答える
のに、どこか似ている。
まあ、いい。ここで断念するつもりはまったくないのだから。
煙草を一本灰にしたところで、立ち上がり歩き始めた。
→ 昇仙峡(2)の記事はこちら
昇仙峡に来たのはこれで三度目である。
一度目と二度目はトテ馬車を使って楽チンにめぐった。今回はトテ馬車が出払っ
ているのか、姿がなかった。
雲ひとつない快晴である。そこで、歩くことにした。
昇仙峡は日本一美しい渓谷と言われているが、たぶん紅葉のころのことでまだ
二週間ほど早いようだ。
渓流沿いのアスファルト道路を歩く。全行程でだいたい四、五キロであるが、
なだらかな登り坂なので一時間ちょっとだろう。
巨岩奇岩がごろごろしている渓流で、ところどころの岩にその形から名前がつけ
られている。
たとえば亀岩とか猿岩とか松茸岩とかで、道の渓流ぞいにその名前を記した案内
板が立っている。最初のうち、フムフムなるほど・・・などと言っていたがあまり
の数の多さにいまではほとんど名前を覚えていない。
たしかにそう見えるものもあれば、名付け親の苦労はわかるがどう見てもそう
見えないものもある。
日差しがあるところは汗ばむほど暑いが、遮られたところでは涼しい。
上流のほうからトテ馬車がやってくる。
逞しい馬が荒々しい息を吐き湯気をあげながら近づいてきて、すごい迫力でくだ
っていった。
時計をみて、中間地点と思われる茶店でひと休みしてアイスコーヒーを飲んだ。
代金を払いながら、ついでに滝までの距離を訊いてみると、
「あと、半分ぐらいですがここからは楽ですよ」
とのことである。
なんとなく、出来すぎの回答のような気がした。山登りでへとへとになった初心
者が「あと、どのくらいですか」と訊いて、「もう、あとちょっとです」と答える
のに、どこか似ている。
まあ、いい。ここで断念するつもりはまったくないのだから。
煙草を一本灰にしたところで、立ち上がり歩き始めた。
→ 昇仙峡(2)の記事はこちら
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