<天国と地獄(2)>
「おっ、露天風呂があいているぞ」
大浴場とは別に貸切風呂が寝湯、露天風呂、五右衛門風呂の三つある。
一階のエレベーター前に表示板があり利用中は点灯する仕組みになっている。点灯していなければ誰でも自由に入れるのだ。しかも無料で。
寝湯もあいていたが、閉鎖された狭い空間なのを知っているので今回は遠慮しておく。
玄関でサンダルを履き、すぐ右手にある露天風呂に歩く。
大浴場と露天風呂とで身体が充分に温まっているので、冷たい外気のなかでも脱衣するのに躊躇はない。
かなり広い開放的な露天風呂で、独占すると満足この上なしである。
大東館は四本の源泉を持っていて、毎分三百二十五リットル湧出している。(最新のホームページによると三本に、湧出量も少し減っている)
泉質は弱ナトリウムとカルシウムを含んだアルカリ性単純泉で泉温は四十六度から五十三度である。
循環濾過はしていない掛け流し温泉で、新しい湯が常に注ぎ込まれている。
えーい、五右衛門風呂もついでにと思ったら使用中なのでいったん部屋に戻る。
苦手な牛乳で薬を服み、それから独り宴会を開催だ。焼酎を呑みはじめる。
黒霧を一本あけたところで、タオルを持ち一階に降りる。
深酒の前に五右衛門風呂に入ってしまおうという算段である。幸いなことに表示板には使用中のランプが点いていない。
洞窟へ入っていく。
大戦の際に陸軍が弾薬や物資に備蓄もかねて伊東に掘った防空壕のひとつで、総延長はかって約三百メートルあったそうだ。
五右衛門風呂は洞窟の先にあるのだ。修善寺の岩窟風呂といい、ここのところなんか洞窟に縁があるなあ・・・、と苦笑する。
熱めと温めにわかれた、広島県産のふたつの鉄釜の風呂である。底から火を焚く通常の五右衛門風呂と違い、釜の底に温泉を導いている。
熱めの釜でじっくりと身体を温めた。
部屋に戻ると、いつ眠り込んでもいいようにテレビのオフスイッチをセットする。江戸屋のパンをたっぷりの牛乳で平らげると、さあ本格的な独り酒盛りだ。
と、ここまでが温泉と酒の極楽であり天国である。地獄はさらりと短く書く。(人間ドック受診年齢未満のかたは読まないほうがよろしいかと)
(う! 来たか・・・)
下剤と、飲むと途端に腹を下す牛乳の相乗効果がやっと現れたか。
深夜、起き上がり部屋に付いているトイレに向かう。
今回は何時間かかるのだろうか・・・。夜の伊東の居酒屋にいかなかったのも、突然地獄がやってきたら、まさか店のトイレに籠城するわけにはいかないからだ。
年に一回の、激痛地獄の始まりである。人間ドックを受けると、胃の検査で飲んだバリウムの排出にいつも地獄の苦しみを味わうのである。
ナニを金属ががっちりとコーティングしてしまうため、配管の出口付近が詰まるのである。
天井から垂らした紐を思いきり引っ張りながら独りきりで顔を真っ赤にいきむ、初めてのややこを産みおとそうとする姫様状態になるのだ。
くるくる滑ってまるで開かない、頑固一徹、瓶詰めの蓋をじりじりと廻しているような無限地獄・・・。
それにしても、酒の席でも不思議とこの話題は出ない。出たとしても、まあ盛り上がらないだろうが。
人間ドック受診後に出勤して普通に仕事するヤツとか、送別会の呑み会に夜に参加してニコニコ談笑しているヤツとかみると、オレだけがこんな地獄を味わっているのかと落ち込む。
根本的な構造が違うのか。
それとも、ヤツらはよっぽどケツのナニがデカイのだろうか。うう、恐わっ。
→「天国と地獄(1)」の記事はこちら
→「飲み放題と岩窟風呂の宿(1)」の記事はこちら
→「飲み放題と岩窟風呂の宿(2)」の記事はこちら
→「飲み放題と岩窟風呂の宿(3)」の記事はこちら
「おっ、露天風呂があいているぞ」
大浴場とは別に貸切風呂が寝湯、露天風呂、五右衛門風呂の三つある。
一階のエレベーター前に表示板があり利用中は点灯する仕組みになっている。点灯していなければ誰でも自由に入れるのだ。しかも無料で。
寝湯もあいていたが、閉鎖された狭い空間なのを知っているので今回は遠慮しておく。
玄関でサンダルを履き、すぐ右手にある露天風呂に歩く。
大浴場と露天風呂とで身体が充分に温まっているので、冷たい外気のなかでも脱衣するのに躊躇はない。
かなり広い開放的な露天風呂で、独占すると満足この上なしである。
大東館は四本の源泉を持っていて、毎分三百二十五リットル湧出している。(最新のホームページによると三本に、湧出量も少し減っている)
泉質は弱ナトリウムとカルシウムを含んだアルカリ性単純泉で泉温は四十六度から五十三度である。
循環濾過はしていない掛け流し温泉で、新しい湯が常に注ぎ込まれている。
えーい、五右衛門風呂もついでにと思ったら使用中なのでいったん部屋に戻る。
苦手な牛乳で薬を服み、それから独り宴会を開催だ。焼酎を呑みはじめる。
黒霧を一本あけたところで、タオルを持ち一階に降りる。
深酒の前に五右衛門風呂に入ってしまおうという算段である。幸いなことに表示板には使用中のランプが点いていない。
洞窟へ入っていく。
大戦の際に陸軍が弾薬や物資に備蓄もかねて伊東に掘った防空壕のひとつで、総延長はかって約三百メートルあったそうだ。
五右衛門風呂は洞窟の先にあるのだ。修善寺の岩窟風呂といい、ここのところなんか洞窟に縁があるなあ・・・、と苦笑する。
熱めと温めにわかれた、広島県産のふたつの鉄釜の風呂である。底から火を焚く通常の五右衛門風呂と違い、釜の底に温泉を導いている。
熱めの釜でじっくりと身体を温めた。
部屋に戻ると、いつ眠り込んでもいいようにテレビのオフスイッチをセットする。江戸屋のパンをたっぷりの牛乳で平らげると、さあ本格的な独り酒盛りだ。
と、ここまでが温泉と酒の極楽であり天国である。地獄はさらりと短く書く。(人間ドック受診年齢未満のかたは読まないほうがよろしいかと)
(う! 来たか・・・)
下剤と、飲むと途端に腹を下す牛乳の相乗効果がやっと現れたか。
深夜、起き上がり部屋に付いているトイレに向かう。
今回は何時間かかるのだろうか・・・。夜の伊東の居酒屋にいかなかったのも、突然地獄がやってきたら、まさか店のトイレに籠城するわけにはいかないからだ。
年に一回の、激痛地獄の始まりである。人間ドックを受けると、胃の検査で飲んだバリウムの排出にいつも地獄の苦しみを味わうのである。
ナニを金属ががっちりとコーティングしてしまうため、配管の出口付近が詰まるのである。
天井から垂らした紐を思いきり引っ張りながら独りきりで顔を真っ赤にいきむ、初めてのややこを産みおとそうとする姫様状態になるのだ。
くるくる滑ってまるで開かない、頑固一徹、瓶詰めの蓋をじりじりと廻しているような無限地獄・・・。
それにしても、酒の席でも不思議とこの話題は出ない。出たとしても、まあ盛り上がらないだろうが。
人間ドック受診後に出勤して普通に仕事するヤツとか、送別会の呑み会に夜に参加してニコニコ談笑しているヤツとかみると、オレだけがこんな地獄を味わっているのかと落ち込む。
根本的な構造が違うのか。
それとも、ヤツらはよっぽどケツのナニがデカイのだろうか。うう、恐わっ。
→「天国と地獄(1)」の記事はこちら
→「飲み放題と岩窟風呂の宿(1)」の記事はこちら
→「飲み放題と岩窟風呂の宿(2)」の記事はこちら
→「飲み放題と岩窟風呂の宿(3)」の記事はこちら
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