<読んだ本 2019年7月>
亀戸天満宮に参詣して、ぶらぶらしているといい感じに末枯れたラーメン屋をみつけた。
時刻は昼ちょっと前である。ラーメンでも食べるとするかと暖簾を潜った。
カウンター席に座る客のうち、二人が呑んでいるのを横目にしてカウンターの端に座った。
この店だが、夫婦二人だけで切り盛りしているようだ。テレビの裏側の厨房で高齢にみえる旦那が調理していた。
郷に入っては郷に従え、である。焼酎の水割りをとりあえず頼んだ。
バチ当たりな昼酒に突出しの厚揚げを摘む。貼り出された品書きのなかに目玉焼きをみつけて勇んで注文してしまう。
近頃、「町中華で飲ろうぜ」とかいう番組が始まったようで、二度ほど観たがこれはわたしには無理筋というものだ。
蕎麦屋で蕎麦前と称して種物の具を肴にして軽く飲むなんてのは、長い歴史もあるのでまるで違和感がない。中華でも、酒肴をふんだんに揃えている「三ちゃん食堂」のような異端児みたいなところならまだしも、餃子とかレバニラ炒めでは酒がすすまない。
埋まったランチ客が引け始めるところで、なんとなく中休みに入る体制になったことに気づき慌てる。
「食事、どうしますか」
「あ、じゃあ、カレーライスをライス半分でなんてできますか?」
「いいですよ。半カレーをひとつお願い!」
と、女将さんが厨房に大声で通した。
まさかこんなに早い中休みとは思わなかった。なんだよ、せめて二時くらいまでやってくれよ。ああ、残念。もう一杯くらい(三杯目)呑みたかったな。
さて、7月に読んだ本ですが、情けなやたったの4冊、年間累積で41冊です。
1. ○異国の影 新古着屋総兵衛影始末十 佐伯泰英 文春文庫
2. ○ボッコちゃん 星新一 新潮文庫
3. ○悪魔のいる天国 星新一 新潮文庫
4. ◎花だより みおつくし料理帖 特別巻 高田郁 角川春樹事務所
予約している本を待つのに、いつものチャンバラ小説を離れて、どこでも一旦休止ができる星新一のショートショートにしてみた。
「花だより」は、「みおつくし料理帖」のシリーズ十巻を完結してから四年、待望の特別巻である。
澪が大坂に戻って、ある日、夫である医師源斉が病になってしまう。ひと月近くの養生が効いて元気を取り戻すが、眠りは浅く、食も細い。「口から摂るものだけが、人の身体を作る」と常々言っている源斉がである。
手作りの江戸味噌・・・懐かしい生まれ育った江戸の味で夫の心身を健やかに出来る料理を作ろうと思いつく。
『食は、人の天なり。
ずっと心に刻み続けてきた言葉を、澪は思い返す。命を繋ぐ最も大切なもの、それが食なのだ。
「美味しい」という味わいだけではない、心身を養い、健やかさを保ってこその食。食べるひとのことを思ってこその、食。
どれほど材料に拘り、贅沢に走ったところで、心のない料理は「天」とはなり得ない。裏返せば、子どもの頃から親しんだ味、
誰かが自分を思って作ってくれた味。そんな記憶に残る味が、病人を病から遠ざけるのだろう。』
本のなかにあるのだが、料理人の大事な心得はこうだ。『熱いものは熱く、冷たいものは冷たく――どんな料理も、それに相応しい状態で供さねば台無しになってしまう。』と。
わたしも、まさにその通りだと思う。
→「読んだ本 2019年6月」の記事はこちら
亀戸天満宮に参詣して、ぶらぶらしているといい感じに末枯れたラーメン屋をみつけた。
時刻は昼ちょっと前である。ラーメンでも食べるとするかと暖簾を潜った。
カウンター席に座る客のうち、二人が呑んでいるのを横目にしてカウンターの端に座った。
この店だが、夫婦二人だけで切り盛りしているようだ。テレビの裏側の厨房で高齢にみえる旦那が調理していた。
郷に入っては郷に従え、である。焼酎の水割りをとりあえず頼んだ。
バチ当たりな昼酒に突出しの厚揚げを摘む。貼り出された品書きのなかに目玉焼きをみつけて勇んで注文してしまう。
近頃、「町中華で飲ろうぜ」とかいう番組が始まったようで、二度ほど観たがこれはわたしには無理筋というものだ。
蕎麦屋で蕎麦前と称して種物の具を肴にして軽く飲むなんてのは、長い歴史もあるのでまるで違和感がない。中華でも、酒肴をふんだんに揃えている「三ちゃん食堂」のような異端児みたいなところならまだしも、餃子とかレバニラ炒めでは酒がすすまない。
埋まったランチ客が引け始めるところで、なんとなく中休みに入る体制になったことに気づき慌てる。
「食事、どうしますか」
「あ、じゃあ、カレーライスをライス半分でなんてできますか?」
「いいですよ。半カレーをひとつお願い!」
と、女将さんが厨房に大声で通した。
まさかこんなに早い中休みとは思わなかった。なんだよ、せめて二時くらいまでやってくれよ。ああ、残念。もう一杯くらい(三杯目)呑みたかったな。
さて、7月に読んだ本ですが、情けなやたったの4冊、年間累積で41冊です。
1. ○異国の影 新古着屋総兵衛影始末十 佐伯泰英 文春文庫
2. ○ボッコちゃん 星新一 新潮文庫
3. ○悪魔のいる天国 星新一 新潮文庫
4. ◎花だより みおつくし料理帖 特別巻 高田郁 角川春樹事務所
予約している本を待つのに、いつものチャンバラ小説を離れて、どこでも一旦休止ができる星新一のショートショートにしてみた。
「花だより」は、「みおつくし料理帖」のシリーズ十巻を完結してから四年、待望の特別巻である。
澪が大坂に戻って、ある日、夫である医師源斉が病になってしまう。ひと月近くの養生が効いて元気を取り戻すが、眠りは浅く、食も細い。「口から摂るものだけが、人の身体を作る」と常々言っている源斉がである。
手作りの江戸味噌・・・懐かしい生まれ育った江戸の味で夫の心身を健やかに出来る料理を作ろうと思いつく。
『食は、人の天なり。
ずっと心に刻み続けてきた言葉を、澪は思い返す。命を繋ぐ最も大切なもの、それが食なのだ。
「美味しい」という味わいだけではない、心身を養い、健やかさを保ってこその食。食べるひとのことを思ってこその、食。
どれほど材料に拘り、贅沢に走ったところで、心のない料理は「天」とはなり得ない。裏返せば、子どもの頃から親しんだ味、
誰かが自分を思って作ってくれた味。そんな記憶に残る味が、病人を病から遠ざけるのだろう。』
本のなかにあるのだが、料理人の大事な心得はこうだ。『熱いものは熱く、冷たいものは冷たく――どんな料理も、それに相応しい状態で供さねば台無しになってしまう。』と。
わたしも、まさにその通りだと思う。
→「読んだ本 2019年6月」の記事はこちら
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