
桑田さんってここまで考え方が理論的で建設的だとは知らなかった。
身長わずか175cmという体格で巨人軍のエースとして長く活躍し、20年以上もプロ野球生活を続けてこられたのも、クレバーで柔軟な思考の持ち主だったからこそなのだろう。
自分もいわゆる古い体育会系で育ってきた世代だから、読み進めるにつれ自責の念にかられるものがあった。
質ではなく単に量のみ求める長時間練習、
年長者に対する絶対服従、
指導中の鉄拳制裁、
といった古い指導方法はもはや通用しない。
自分たちを育くんできた体育会系特有の悪しき思想は即刻改められるべきである。
現代の指導者たちに必要なものとは、幅広い科学的な知見と柔軟で理論的な思考、そしてコミュニケーションスキルなのだろう。
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「スポーツの品格」 桑田真澄 佐山和夫
殴らない。怒鳴らない。押し付けない。無理をさせない。
「勝利至上主義」を超える
フェアであるべきスポーツの世界に、なぜ「体罰」や「不正」といった問題が蔓延するのか。その背景には何があるのか。
本書は、元選手の立場で積極的にメッセージを発信する桑田真澄と、スポーツ史研究の第一人者である佐山和夫が、スポーツをめぐる問題の根源である「勝利至上主義」について論じ合う。そして、スポーツの喜びは「勝利を目指すプロセス」にあることが、さまざまな具体例を引きながら語られる。
スポーツにおける「品格」とは何なのか。新しいスポーツ観を提起する、スリリングな対話!
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