政策としてありだと思う。
「何もしなければ座して消滅を待つばかり」
過疎化が進み疲弊した地方の危機的窮状を語る隈元市長の言葉が何とも重い。
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出典:産経新聞
【地方再考】東大合格で100万円は是か非か 鹿児島・伊佐市 「金で釣る教育」批判も…高校生流出に歯止め 「何もしないと座して消滅」
2015年12月27日 9時22分 産経新聞
定員割れで学級数の削減を迫られた地元の県立高校を再生するため、東大や京大などの合格者に最大100万円の報奨金を支給するとして話題となった鹿児島県伊佐市(隈元新(しん)市長)。
高校生の流出を食い止めるための“窮余の策”に、当初は「お金で釣る教育」など批判が殺到した。しかし、制度開始から1年、国立大学への合格者も大幅に増え、地元高校に進学を希望する中学生も急増。来年度も現行の学級数が維持されることが決まった。報奨金への賛否がある中で、生き残りを模索する自治の現場を報告する。(社会部編集委員 石元悠生)
■使途自由の報奨金
伊佐市が報奨金制度を決めた背景には、地元、県立大口高校(山之内伸明校長)への中学3年生の志願者減がある。定員は3学級120人だが、平成25年春の入学者は6割の72人(26年度は66人)に落ち込み、県教委が2学級への移行を通告したことが発端となった。
「高校生が流出すると市内の食堂やスポーツ店、文房具店などに影響が出る。街の経済は打撃を受けて地域が廃れてくる」
隈元市長は県教委との協議の末、進路希望調査で3クラス編成が可能な81人以上になることを条件に1年間の猶予を引き出した。ただ、市内の中学3年生はここ数年、約220人中80~60人が市外に流出する状況が続いていた。どうやって大口高校への希望者を増やすのか、思いついたのが報奨金だった。
文科省によると、難関校など大学を分類して自治体が報奨金を出すのは極めて異例というが、伊佐市が決めた予算は基金として5年間で5000万円。東大、京大、九大など旧帝大に加え大学医学部と、早慶上智など難関私大の合格者に100万円。それ以外の国公立大や準ずる私大に30万円を交付することにした。入学金でも留学費用でも、使途自由なことが特徴だ。
■「五輪と何が違う」
報奨金制度は臨時市議会で可決されたが、直後から否定的な意見がインターネット上などに殺到。教育評論家の尾木直樹氏がブログなどで「時代錯誤も甚だしい」などと批判したことで波紋も広がった。
しかし、隈元市長は「何もしなければ座して消滅を待つばかり。五輪でメダルとって報奨金をもらうのと何が違うのか。教育や高校だけの問題にせず、地域の危機感として共有することが大切」と反論する。高校統廃合の影がちらつくのも要因の一つだった。
一方で、支援される側の大口高校はどう受け止めているのか。
山之内校長は「生徒が減って2学級となったら、地域の進学校として質を維持できず、インパクトのある施策はありがたかった。合格した生徒の保護者からも家計が助かると感謝されました」と話す。
同校によると、今春は100万円の対象となる九大を2人受験したが不合格。しかし、30万円がもらえる国公立大への合格者は鹿児島大など計18人で、昨年の4人を大幅に上回る結果となった。また、進学希望者が増加し、来年度は3学級編成の継続が決まった。市幹部は「報奨金制度が奏功した」と語る。
■重要なインフラ
地域活性化センター(東京)によると、大口高校のように生き残りをかける地域の公立高校の魅力化は各地で進んでいる。同センターの岩崎正敏理事は「地域から高校が消えると子育て世代も流出し、衰退は加速する。教育インフラの維持は今や自治体にとって死活問題」と説明する。
伊佐市では、来春から浪人生も報奨金の対象にする。隈元市長は「建前を重んじる教育関係者から批判されたが、今後は東大合格者も出て最後は実績だけで県内外から志願者が集まってくれれば地域は生き残れる」と期待をかけている。
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「何もしなければ座して消滅を待つばかり」
過疎化が進み疲弊した地方の危機的窮状を語る隈元市長の言葉が何とも重い。
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出典:産経新聞
【地方再考】東大合格で100万円は是か非か 鹿児島・伊佐市 「金で釣る教育」批判も…高校生流出に歯止め 「何もしないと座して消滅」
2015年12月27日 9時22分 産経新聞
定員割れで学級数の削減を迫られた地元の県立高校を再生するため、東大や京大などの合格者に最大100万円の報奨金を支給するとして話題となった鹿児島県伊佐市(隈元新(しん)市長)。
高校生の流出を食い止めるための“窮余の策”に、当初は「お金で釣る教育」など批判が殺到した。しかし、制度開始から1年、国立大学への合格者も大幅に増え、地元高校に進学を希望する中学生も急増。来年度も現行の学級数が維持されることが決まった。報奨金への賛否がある中で、生き残りを模索する自治の現場を報告する。(社会部編集委員 石元悠生)
■使途自由の報奨金
伊佐市が報奨金制度を決めた背景には、地元、県立大口高校(山之内伸明校長)への中学3年生の志願者減がある。定員は3学級120人だが、平成25年春の入学者は6割の72人(26年度は66人)に落ち込み、県教委が2学級への移行を通告したことが発端となった。
「高校生が流出すると市内の食堂やスポーツ店、文房具店などに影響が出る。街の経済は打撃を受けて地域が廃れてくる」
隈元市長は県教委との協議の末、進路希望調査で3クラス編成が可能な81人以上になることを条件に1年間の猶予を引き出した。ただ、市内の中学3年生はここ数年、約220人中80~60人が市外に流出する状況が続いていた。どうやって大口高校への希望者を増やすのか、思いついたのが報奨金だった。
文科省によると、難関校など大学を分類して自治体が報奨金を出すのは極めて異例というが、伊佐市が決めた予算は基金として5年間で5000万円。東大、京大、九大など旧帝大に加え大学医学部と、早慶上智など難関私大の合格者に100万円。それ以外の国公立大や準ずる私大に30万円を交付することにした。入学金でも留学費用でも、使途自由なことが特徴だ。
■「五輪と何が違う」
報奨金制度は臨時市議会で可決されたが、直後から否定的な意見がインターネット上などに殺到。教育評論家の尾木直樹氏がブログなどで「時代錯誤も甚だしい」などと批判したことで波紋も広がった。
しかし、隈元市長は「何もしなければ座して消滅を待つばかり。五輪でメダルとって報奨金をもらうのと何が違うのか。教育や高校だけの問題にせず、地域の危機感として共有することが大切」と反論する。高校統廃合の影がちらつくのも要因の一つだった。
一方で、支援される側の大口高校はどう受け止めているのか。
山之内校長は「生徒が減って2学級となったら、地域の進学校として質を維持できず、インパクトのある施策はありがたかった。合格した生徒の保護者からも家計が助かると感謝されました」と話す。
同校によると、今春は100万円の対象となる九大を2人受験したが不合格。しかし、30万円がもらえる国公立大への合格者は鹿児島大など計18人で、昨年の4人を大幅に上回る結果となった。また、進学希望者が増加し、来年度は3学級編成の継続が決まった。市幹部は「報奨金制度が奏功した」と語る。
■重要なインフラ
地域活性化センター(東京)によると、大口高校のように生き残りをかける地域の公立高校の魅力化は各地で進んでいる。同センターの岩崎正敏理事は「地域から高校が消えると子育て世代も流出し、衰退は加速する。教育インフラの維持は今や自治体にとって死活問題」と説明する。
伊佐市では、来春から浪人生も報奨金の対象にする。隈元市長は「建前を重んじる教育関係者から批判されたが、今後は東大合格者も出て最後は実績だけで県内外から志願者が集まってくれれば地域は生き残れる」と期待をかけている。
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