さあ、いよいよ運命の日だ。
世論の大方は、西山勝利を願う。
自分もそうだ。
しかし、プロ棋士たちにとってみれば、必ずしもそうではないだろう。
本来、プロ棋士養成機関である奨励会という狭き門をくぐらなければプロ棋士にはなれない。
全国の秀才たちがしのぎを削り、死に物狂いで戦う厳しい世界だ。
そこには厳然たる年齢制限が存在し、これまで、プロ棋士を夢見た数多の若き秀才たちの行く手を阻んできた。
己の人生を賭けて戦い、無惨にも散っていった幾多の屍。
自分たちはその屍の上に立っているのだ。
試験官となる柵木幹太四段を含め、プロ棋士たちには、皆心のどこかに、そのような思いを抱いているはずだ。
狭き門をくぐり抜けた末に、死に物狂いで勝ち取った自分たちの側に、言い方は悪いが、裏口入学のような編入試験で、たやすく入ってもらっては困るのだ。
そして、戦友とも言える幾多の屍たちに、申し訳が立たず、顔向けができないのだ。
そうした複雑なプロ棋士たち、屍たちの思いをも背負って、柵木四段は戦う。
人々の様々な思いが交錯しながら、この大一番に注目が集まっている。
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