夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

リメイク 気になる作品 原羊遊斉作 2作品

2022-03-06 00:01:00 | 漆器
仙台の友人から秋田の横手産の「いぶりがっこ」を頂きました。海外まで輸出されるようになった一方で、食品衛生法の規制でピンチになっているようです。いつまで美味しい「いぶりがっこ」を食せるか・・。



さて当方では古くからある数点の作品以外に少しづつ蒐集した作品がありますが、本日は印籠の代表格のひとつである「原羊遊斉」の作品の紹介です。実はこの作品は本ブログには3度目の投稿となります。印籠類は本来の当方の蒐集作品ではないので、少しづつ見識を深めているため、見識を得た都度の投稿となっています。

雪被り万両図印籠 酒井抱一絵 原羊遊斉作
根付:草花紋様清水焼徳利 径11*高さ24
一段重高蒔絵 桐箱入 縦33*横33*厚16



両面に雪を被った万両が描かれた蒔絵の作品です。銀が変色して黒くなっていますが、酒井抱一の原画に相違ないようです。実に小ぶりな印籠ですが、出来の良い佳作の作品です。



銘には「羊遊斉」とありますが、これは「原羊遊斉」のことでしょう。「原羊遊斉」の作品はマニア垂涎の作品でとなっているようですが・・・。



中身の梨地なども無傷なことも評価の重要なポイントです。



根付も当時のままで、おそらく古清水焼でしょう。根付だけ蒐集する方もいますが、印籠は根付との総合芸術でから、根付だけの蒐集というのは刀剣の鍔などの蒐集と同じく「味気のないもの」と当方では考えています。



「原羊遊斉」の略歴は下記のとおりです。

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原羊遊斉:生年は明和6年(1769)~没年: 弘化2年12.25 (1846.1.22) 江戸後期の蒔絵師。

江戸神田に住み、通称は久米次郎、更山というごうもあります。その詳しい事績は伝わっていませんが,『蒔絵師伝』の記事などによれば、羊遊斎の立場は一個の蒔絵師というよりも工房の主催者に近いものであったらしく、常に権門勢家に出入りし、中山胡民をはじめとする多くの門人を擁して蒔絵作品の制作に当たっていたようです。要は現代の服装品などのブランドメーカーでしょうか。

現在遺っている作品には下記の作品などがあるようです。

参考作品(下写真)
梅木蒔絵印籠
原羊遊斎作 酒井抱一下絵
19世紀前半、メトロポリタン美術館蔵



酒井抱一、鷹見泉石、谷文晁、大田蜀山人、7代目市川団十郎などの当時一流の文化人との交流があり、その外向的な性格を物語るものといえよう。

羊遊斎、あるいはその一派の作風は琳派風の装飾性豊かな意匠を薄肉高蒔絵を基調にした伝統的な蒔絵技法で描き出したもので、その精細かつ華やかな表現は江戸後期の多彩な蒔絵のなかでも際だって目をひく存在となっていたと思われます。現代での超一流有名ブランドと言えるのでしょう。

羊遊斎作と称する作品は酒井抱一が下絵を描いたとされるものも含めて数多く巷間に伝わっており、いずれも「羊」「羊遊斎」「羊遊斎作」などの銘が記されているそうです。贋作も多くあるそうで、それらの真偽の程は決し難いとされているようですが,「行年六十一歳/羊遊斎」の箱書を持つ「片輪車蒔絵大棗」(静嘉堂文庫蔵)、さらには覆紙の注記から文政4(1821)年の制作と推定される「蔓梅擬目白蒔絵軸盆」(江戸東京博物館蔵)などを一応の基準作とみることができるとされています。

参考作品(下写真左)
「片輪車蒔絵棗」原羊遊斎 作
文政12年(1829)  静嘉堂文庫蔵
高:8.2、径:8.1、底径:4.9

参考作品(下写真右)
「菊蒔絵大棗」原羊遊斎 作
文化14年(1817) 静嘉堂文庫蔵 不昧公旧蔵
高:8.0、径:7.8、底径:4.8

 

参考作品(下写真左)
「蔓梅擬目白蒔絵軸盆」(江戸東京博物館蔵) 国指定重要文化財
寸法 41.0×22.1×3.5

下写真右:同下絵

 

この作品は絵巻物を載せるための軸盆。江戸琳派の画家・酒井抱一の下絵をもとに、蒔絵師・原羊遊斎が蒔絵を施した江戸後期の漆工を代表する優品とされています。長方形の盆の見込みに、対角に蔓梅擬を配し、蔓に止まる二羽の目白を表し、蔓梅擬の実には赤い珊瑚をあしらった、瀟洒な作品ですね。

*抱一の下絵と盆の依頼主への書簡が伴い資料的価値も高く貴重な作例であるため、 重要文化財に指定されました。(江戸時代) (文化庁 報道発表より)

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落款の「羊」の上の二本の線が離れている、「遊」のしんにょうの点がないなどが羊遊斎のサインの特徴とされ、なんでも鑑定団の解説ではそうではないものは贋作、模倣作品とされるとのことでしたが、落款の「羊」の上の二本の線の離れの具合、「遊」のしんにょうの点の有無が真贋判定のすべてではないように当方では判断しています。ようはどちらでも真作と贋作があると考えています。基本的に書体がぎこちない、余白の美が感じられない作品が贋作のようです。

下記の銘は思文閣墨蹟資料目録に真作として掲載されている作品の銘です。明らかに上記の判断ポイントとは違い、上記は判定ポイントとしては絶対ではないと当方では考えています。鑑定者という者の判断には間違いもある、というか間違いが多いと思っているほうがいいらしいです。

*ただこの思文閣墨蹟資料目録に掲載されている作品はちと怪しいかなという側面からの考察もあります。

**考察するに「原羊遊斉」は一種のブランド名であり、本人作と工房作品を分けていた可能性があるのかもしれません。たとえば近代の柿右衛門、浜田庄司もその類ですが、柿右衛門ではサイン、浜田庄司では箱の印章で本人作と工房作品を区別しています。

下記写真:思文閣墨蹟資料目録に真作として掲載されている作品の銘



当方にはさらに下記の作品を所蔵しています。こちらは念のために「伝」としております。

酒井抱一下絵印籠 伝原羊遊斉作
根付:ふくら雀(象牙) 幅33*奥行き35*高さ18
四段重高蒔絵 桐箱入 縦80*横45*高さ24



片面は東下りの図で、片面は寒牡丹の図でしょうか?



これは真作との判定が難しい作品かもしれませんね。



絵そのものはよく描けています。酒井抱一の下絵とされています。



中もほとんど無傷です。



根付は「ふくら雀」・・、いいですね。材質は象牙?



この作品の「羊遊斉」の銘は下記のとおりです。「遊」のしんにょうには点があります。どうも紛らわしのですが、本人作とブランド作品(工房作品)の違いとするとなんとなく納得できますね。



ちなみに「なんでも鑑定団」に出品されていた作品は下記の作品です。残念ながらこれは明らかな贋作のようです。印籠にはその人気ゆえ、特に海外には人気があり高額な取引の対象となるため、意外に多くの贋作が存在するようです。



「評:偽物に仕立て上げられたもの。ぱっと見た限りでは細かくよくできていて美しいのだが、羊遊斎は依頼品のようにうるさく全面を蒔絵で埋め尽くすことはせず、もっと黒の余白を活かす。おそらく鹿の琳派風の絵柄のある江戸時代後期ごろの印籠に、近代になってから秋草などをかぶせて羊遊斎風にでっち上げてしまったのだろう。そして実はサインが異なる。「羊」の上の日本の線が離れている、「遊」のしんにょうの点がないなどが羊遊斎のサインの特徴なのだが、依頼品はそうなっていない。」

*この評にあるように「羊」の上の日本の線が離れている、「遊」のしんにょうの点がないなどの判定ポイントには疑問がある(一概には段的できない)と当方では考察しています。

「羊」の上の日本の線が離れている、「遊」のしんにょうの点がないという点は工房作品の可能性があるという程度かと思います。伝原羊遊斉としているこの作品は原羊遊斉の「工房作品」として評価してよいと思っています。あくまでも字体や作品の出来で真贋を考察しましょう。





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