夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

放鳥 圓鍔勝三作 その5

2024-06-03 00:01:00 | 彫刻
本ブログで何点かの作品を紹介してきた圓鍔勝三の作品を紹介します。

放鳥 圓鍔勝三作 
共箱
底部幅120*140*高さ510 



圓鍔勝三の木彫の作品は意外に入手困難ですね。むろん文化功労者、文化勲章受章の彫刻家ですので、当たり前と言えば当たり前ですが、市場に流通する作品が少ないようです。

 

鳩を解放す平和への願いを表す作品でしょうか? 広島に生まれたが故か、平和を希求する心と生きることへの愛着が 作品から感じとりますね。

 

題名は「放鳥」とのみ・・。

 

裸婦の若き女性と鳥・・。戦後、抽象表現を取り入れる作家が多い中で、創作初期から写実を基に簡略化した人体像をモティーフとし、具象彫刻による新たな造形を模索した 彫刻家の作品。



現代にこれほど写実的に木彫を彫り上げられる彫刻はいない・・。その技量をベースにロマンティックな主題を表象する作風を示した彫刻家。 



一見簡単そうにみえる彫りだが、この彫刻家の象徴的な作品だと思います。



圓鍔勝三は幼年時代から決して器用な方でなくむしろ不器用であったと述懐しています。16歳で京都へ行き、石割秀光に弟子入りしたのちも、努力と勉強熱心さにより、自己を形成したとされます。 



この不器用さを最後まで取り繕うことなく、豊かな自然と細やかな人情という忘れかけている感情を思い起こしてくれる、そんな世界にふれることができる作風です。 



本ブログでも紹介している澤田政廣に師事して、大正末から昭和の戦前にかけて起こった木彫界の新たな運動に加わり、明治以降の失われかけていた日本の木彫をよみがえらせたと評価されています。 



圓鍔勝三は広島への原爆投下の際には川崎に在住していましたが、大きな衝撃を受け、戦後は「唯一こだわるテーマは戦争」と述べています。



広島に生まれた者の彫刻そのもの・・。共箱には下記のとおり記されています。

 

同じような作品では、「春を捧げる」と題された作品があります。



ブロンスで作られており、金色に輝く若い女性が躍動感溢れる姿で両手で鶏に似た鳥を天に向かい捧げています。こちらの作品は神への願いか・・。






















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