最近展示した平櫛田中にちなむ作品では、義母の干支にちなんでしばらく展示室に飾っていた平野富山作の作品があります。
横綱牛 平野富山作 その4
共箱
本体:幅470*奥行160*高さ315 重さ4485g
北向きの窓とはいえ、陽の指す場所に長時間にわたって飾っておくと極彩色の作品は退色するので、展示は頻繁に替えており、今回は修理が終了してきた下記の作品を飾ってみました。
義母に依頼していたカバーもまた出来上がりました。古い着物から作ったものです。これによってガラスケースにあたる陽を極力防ぎます。
極彩恵比寿天尊像・大黒天尊像対(大)平櫛田中作 昭和50年作
昭和50年(1975年)103歳 各々共箱
恵比寿天尊像 作品サイズ:高さ335*幅300*奥行250 11㎏
大黒天尊像 作品サイズ:高さ340*幅310*奥行230 10㎏
この一対の二つの作品は色彩部分が剥離し始めていたので、京都の人形店に依頼して補修した作品です。
現状維持を優先して、剥離や割れ止めには「膠液」を筆にてひとつひとつ沁み込ませて補修しています。
養生後、表面についた「膠液」を水分を少し含めた綿棒にて丹念に拭き取ったそうです。
この作業を基本的に三度ほど繰り返しています。
剥離の状態やひび割れの幅などに応じて、「膠液」の濃度を原液・70%・45%と調整して作業されています。
一年かけて補修が完了しました。
同時期に下記の作品の補修も行いました。
恵比寿天尊像 平櫛田中作 昭和48年作
昭和48年(1973年) 102歳作 共箱(幅205*奥行205*奥行215)
作品サイズ:幅150*奥行140*高さ130 台座:幅165*奥行160*高さ30
「原作」の状態を変えない、こちらもどこを補修したか分からないように「原作」を最重要視した作業となっています。
汚れや色彩の剥離などを修復しています。
何気ない作品ですが、このような恵比寿様はめずらしい・・。
平櫛田中の作品においては大黒天の作品が多い中で、恵比寿様の単品の作品は非常に数が少なく、小さな作品などは大黒天と対になって作品が多いようです。
顔の部分は木の木目を生かした作りとなっていますが、非常にシミが発生しやすく、年数の経過とと主にシミが発生してしまうことがあります。そのシミを除去するのに手間がかかるようで、じっくりと水を浸した綿棒で生地を傷めないように何度も汚れを吸い取りながらシミを除去するらしい・・。
年数を経て黄ばんだ生地と同色を保ちながら、シミを除去するのは素人では無理かな?
義母が作ってくれたカバーは、本格的な鑑賞時には外すものですが、平時は日に当たらないようにするためのものです。
裏地なども付いており、この布の生地は貼り合わせています。義母に依頼してから義母のひざ痛もあり、こちらは2年かかりました。
普段はカバーで覆っていますが、それでも極彩色の作品は長期間にわたって飾るのは避けなくてはなりません。
下記の作品もまた義母に作っていただいたカバーが付いています。
弁財天 平野富山作 その2
ガラスケース入
ケース:幅400*奥行365*高さ450 本体:幅175*奥行155*高さ230
ふたつの作品が並んで飾っています。さて七福神が揃うのはいつのことやら・・・。