夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

入江孤舟図(仮題) 平福穂庵筆 その17(再整理番号)

2017-09-30 00:01:00 | 掛け軸
昨日に引き続き、郷里の画家である平福穂庵の作品の紹介です。つまらぬ作品と見るか、良き作品とみるか、感性の差ですね。このような山水画を味わえる御仁が少なくなりました・・・

入江孤舟図(仮題) 平福穂庵筆 その17(再整理番号)
紙本水墨軸装 軸先 合箱
全体サイズ:縦215*横500 画サイズ:縦1100*横310



落款には「羽後?穂庵芸」とあり、「羽後」ということから幕末期~明治初期の作と推察していますが、どうも資料では明治20年頃の作品にも「羽後?」という落款を記しているというものもありそうですので、描いた時期は当方の判断は後学とならざるえません。

*遊印は判読できていません。「□湖南」? 題名は「湖上弧舟」が適切?

  

白描山水画のような余白の白が印象的な作品。



印章は白文朱方印「芸耕之印」、朱文白方印「穂庵」、そして右下に遊印が押印されています。箱書など作品以外の資料は一切ありませんが、真作と判断しました。



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羽後国(うごのくに):東北戦争終結直後に出羽国を分割し制定された、日本の地方区分の国の一つ。東山道に位置する。別称は羽前国とあわせて、または単独で羽州(うしゅう)。領域は秋田県のうち鹿角市と小坂町を除いた大部分と、山形県の飽海郡、同じく山形県の酒田市の最上川以北部分にあたる。幕末から明治初期の地方の呼称。

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平福穂庵は渡辺省亭と親交があったようで、偏屈な渡辺省亭は一流の腕前のある人物としか付き合わないと公言していたことからも平福穂庵を高く評価していたことがうかがえます。



四条派のような作品をイメージする人も多い平福穂庵ですが、こうような水墨画の力量は並々ならぬものがあると小生は評価しています。この山水画もまた歴代の南画家を凌ぐ作品だと思います。



荒い筆遣いに最低限の絵の構成、見事としかいいようがありません。表具には一寸ほどの象牙が使われており、所蔵者が大切にしていたことも解ります。

ちなみに象牙の軸先を軽く見てはいけません。象牙の軸先はいまや貴重品で、小生が入手した値段はこの象牙の軸先の値段よりもきっと安いと思います。ちょっと良いものになると数万円はする・・???



このような作品は照明を暗くして鑑賞すると雰囲気が出ますね。



とはいえ息子は脇でマジックを片手に遊んでいます



息子がいたずらしないか油断はなりませんが、一度もまだ蒐集作品に悪さをしたことがありません。父子の信頼関係・・・??



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