夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

初平起羊之図 その2 寺崎廣業筆 32

2014-11-23 07:59:35 | 掛け軸
年賀状の図案を考える時期となりました。羊・・・、「黄初平」などはいかがでしょうか。「物質界が、ある一側面からの物の見方によって定義づけられた、制約の多い特殊な世界であるという教えであろう。」という教えの画題です。

黄初平を描いた寺崎廣業の作品は2作品目となります。時代が大きく違うときの作品なので比べてみると非常に面白いですね。構図はよく似ています。




初平起羊之図 その2 寺崎廣業筆 32
紙本水墨淡彩軸装 軸先骨 共箱
全体サイズ:縦2055*横555 画サイズ:縦1115*横410



寺崎廣業筆の作品は32作品を数えることなりました。贋作の多い画家ですので、購入判断が難しいものです。平福穂庵、百穂も難しく、インターネットオークションには贋作が数多く出品されています。本ブログにある資料が参考になれば幸いです。

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「黄初平」は中国の古い仙人で、『列仙伝』や『芸文類聚』などの古書にその名を見ることができる。黄初平は15歳のとき、羊飼いをしているところをある道士に見込まれ、金華山という山の中に連れていかれたまま40年間も消息不明になった。のちに、彼の兄の初起が道士に遇って所在を聞きだし、初平と再会することができたが、道士によれば、いまだに羊飼いをしているはずの初平の周囲には一頭も羊が見あたらない。そこで、不思議に思った初起が問いただすと、初平は、「羊はいますよ。ただ兄さんには見えないのでしょう」と言って鞭を振るい、周りの白い石を叱って、石をことごとく羊に変じさせたという。修行を終えた仙人にとって、石は羊でもあり、羊は石でもある。

物質界が、ある一側面からの物の見方によって定義づけられた、制約の多い特殊な世界であるという教えであろう。多くの画家が画題として描いている。

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本作品は「廣業」の白文朱方印が押印され、共箱には「」が押印されています。他の所蔵にも同じ印章の作品があります。




意味の深い画題ですね。ある側面からしか見ないと失敗するよという戒めでもありそうですね。人事などもそうですね。卒業大学、勤務の長い地域に重きを置いて昇進人事を決めていると大きな失敗をしますね。もっと人の力量に重きをおいて思い切った判断する必要がありますね。最近、つくづくそう思います。



骨董もそうですね。印章や落款にこだわっていると真の作品の良さを見失います。いいものはいいという本質的な作品の内面を観ることが大切なようです。




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