夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

水墨山水図 その13 伝釧雲泉筆

2013-02-22 05:18:25 | 掛け軸
コメントにより贋作と判明より「伝」を追記

久しぶりに釧雲泉と思われる作品を入手しました。箱もなく、シミ跡もあり打ち捨てられそうな状態でしたが、参考資料と思い購入しました。

シミ跡があり染み抜き再表具が必要です。釧雲泉の作品は保存状態が良くないものが多いのはなぜでしょうか?

水墨山水図 その 釧雲泉筆
水墨紙本緞子軸装 軸先鹿角 合箱
全体サイズ:縦2085*横607 画サイズ:縦1230*横451



磊々(らいらい)=磊落(らいらく)道人と落款に記されています。磊落とは度量が広く、小事にこだわらないこと、そのさまをいいます。

下記の説明にもありますように「磊落居士」という号はありますが、「磊落道人」という号があるかどうは不明です。「就」は名です。

同じ落款名は所蔵作品「雲仙普賢岳」に記されています。筆跡が少し違うように思われ、本作品の出来のほうが上に思われます。はてさて本作品の真贋やいかに・・。

 

左下に下記の写真のような印が押印されています。所蔵印なのか作者による遊印なのかは不明です。



釧雲泉の作品の真作ヒット率は約50%・・打率が高いのか低いのかは良く解りませんが、大した投資ではなく楽しめるのでチョイスとしては興味ある画家かと思います。

中村餘容天龍道人などもその類と言えます。あまりにも投資金額の負担が大きいと取集は長続きしないものですので、小生にとっては手頃な収集対象です。



何度も釧雲泉については説明を投稿していますが、念のため下記に列記しておきます。


「釧雲泉(くしろうんせん):宝暦9年(1759年)~文化8年11月16日(1811年12月31日))は、江戸時代後期の文人画家である。旅に生き、酒をこよなく愛した孤高の画聖として知られる。江戸後期の南画家。備前、千々石に生まれ、幼少の頃より絵が好きであった。石に砂を塗り竹切れで絵を描いていたと言う。その石と称されているのが橘神社の「釧雲泉之碑」の横に据えてある大石である。





幼少の頃、父に従って長崎に遊学し中国人について学問を受ける。絵が上手で山水画は殊のほか素晴らしかった。旅に生き、酒をこよなく愛した孤高の画聖として知られる。父の没後九州を振り出しに四国・中国・近畿・江戸・越後等諸国を巡り歩いた。




酒をたしなみ、茶を好み、潔癖な性格で料理、洗濯は自ら行った。気性は几帳面である反面、はなはだ気むずかしく気に入らない客人とは口もきかなかったり、不快な言があると筆を投げ、杯を投げつけすぐに帰らせたと言う。金品のために絵を描くことはなかった。





文化8年(1811年)、53歳にて出雲崎で客死。出雲崎浄邦寺山に埋葬された。号の雲泉は雲仙岳に因んだ。名を就、字を仲孚、通称 文平、別号に、魯堂、岱岳、六石、磊落居士(らいらいこじ)などがある。頼山陽、亀田鵬斎等と親交があった。」


釧雲泉に詳しい「すぎぴい」さんのコメントを心待ちにしています。


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4 コメント

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磊々道人の号について (すぎぴい)
2013-02-24 15:38:10
こんにちは。雲泉関係の記事と聞き(見て?)、コメントさせて頂きます。

まずこの作品は残念ながら釧雲泉の作品ではないです。落款の字体が雲泉の物では無いからです。雲泉の場合「磊」のそれぞれ左下に払う部分がもっとのっぺりとしていますが、本作品のそれはさっと普通に払っています。雲泉の字体の特徴として全体に粘り気の有る筆運びが挙げられると思います。

次に「磊々道人」という号を落款に記載されている作品を、私なりに探して以下にまとめてみます。

【遺墨集で確認できる作品】
磊々道人就 文化6年 1809年 秋山渓村図
磊々生就 文化2年 1805年 渓山雪齋図
磊々道人就 文化8年 1811年 秋江泛舟図

【売立目録で確認出来る作品】
磊々道人 年不明(岡山時代とおもわれる)
磊々道人 1808年 夏山聴雨(こちらのブログの8月10日の記事の掛軸の4幅対の内1つ)
磊々道人 1808年頃 春景逸思
磊々道人 時期不明 秋景山水
磊々道人就 時期不明 米法雨後新晴

私が手元の資料で確認した限り以上の作品で「磊々道人」及びそれに近い落款が使われていました。私自身今回改めて調べてみて、思ったよりも多くの作品で使用されている事に気づきました。年代は、概ね晩年近くの文化年間ですが、作品の筆致から岡山時代だろうと思われる作品にも一つ使われていました。また、以前8月にこちらのブログでご紹介されていた雲泉の掛軸(これは本当に素晴らしい作品だといつも思っております。)の対の作品にも使われている事に気づき、これも面白いなあと感じました。
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納得 (夜噺骨董談義)
2013-02-24 16:43:02
印章がずいぶん鮮明すぎるとは思っていましたが、コメントを読ませていただいて納得しました。

なるほど「秋渓覚句」と対の「夏山聴雨」の作品に使われていますね。
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雲仙普賢岳 (すぎぴい)
2013-02-24 19:53:20
上記のコメントに追記しますと、磊々道人の号を用いている、このブログで以前にご紹介された「雲仙普賢岳」という小品の掛軸については、落款の書体を理由として、私は雲泉の真作だと考えております。
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雲仙普賢岳 (夜噺骨董談義)
2013-02-24 21:20:54
「浅絳山水図 伝釧雲泉筆・光元道人賛」とともに「雲仙普賢岳」は真作不明に分類され、危うく処分(お蔵入り)に分類されるところでした。
寸前のところで「雲仙普賢岳」は再検討に分類されました。
当方に見る眼なし・・。
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