陶磁器・漆器類は保存箱を誂え、傷のある作品は金繕いの補修などを施していますが、ほぼ手もとにある陶磁器の作品はこのメンテは完了しています。
木彫や人形類は人形師へ修理を依頼していますが、この修理は時間がかかっています。ただし数が少ないのですが、ほぼ完了しています。
問題は掛け軸類の修理ですが、修理すべきか否かを含めて表具師さんと相談しながら保存に努めています。古い表具を大切にすることも大事なポイントなので、やたら修理すればよいということでもなさそうです。
下記の作品は紙表具であった作品を再表具した作品です。
*だいたいひと月に4作品から6作品が修理されています。今回は今年の8月完了分の紹介です。
女童図 木谷千種筆 大正4年頃
絹本着色 軸先塗木製 合箱
全体サイズ:縦1770*横540 画サイズ:縦1085*横410
処置は「改装(水洗をする)美人画裂表具 三段表具」です。席画のように描いた作品のようですが、木谷千種の初期(大正初期)の可愛らしい佳作です。
概存箱を保管箱に使用し、多当紙のみ新調します。なるべく費用を軽減する対策を講じます。
次はまくりの状態であった藤井達吉の作品ですが、数多くある藤井達吉の山水画の中でも秀逸な一作です。
萬座(碧南) 藤井達吉筆 1930年(昭和5年)作
和紙水墨金彩軸装 軸先象牙 合箱→2021年8月改装
全体サイズ:縦1065*横650 画サイズ:縦455*横590
三段表装としました。昭和5年頃の作と推定しています。
巻き止めにあった書付類は共箱の蓋裏に貼付しておくようにしています。
概存二重箱の内箱製作(外箱の二重箱は使わなくなったものを転用)、二重箱の多当紙を新調しています。
次は今でも人気の西郷南洲の書です。
三行書 五言絶句 「残菊」 西郷南洲筆 明治8年頃
巻止:吉岡班嶺鑑定有 紙本水墨軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1960*横708 画サイズ:縦1310*横593
*改装必要→2021年8月 改装・箱誂え完了
一字抜けていますが、これは記憶に従って書した証拠となります。西郷南洲が下野した頃の思いを漢詩に託した貴重な作品となります。
改装内容は下記のとおりです。
A.改装(巻き止めの鑑定書を箱の内側に貼り付ける)
B.上箱+多当紙付 新調
次も西郷南洲の書です。
六行書 七言律詩 鉄石肝腸断之首 西郷南洲筆 明治6年頃
紙本水墨軸装 軸先鹿骨 合箱
全体サイズ:縦2080*横1070 画サイズ:縦1630*横917
*改装必要→2021年8月改装完了
この作品も下野したこの頃の作か?
A.染抜き改装
B.上箱+多当紙 新調
次はシミのあった大橋翠石の作品です。
月下猛虎図 大橋翠石筆 明治40年代(1907年)頃
絹本水墨淡彩軸装 軸先木製 誂箱
全体サイズ:横635*縦1945 画サイズ:横510*縦1250
分類A.青年期から初期 :1910年(明治43年)夏まで ~46歳
表具師との打ち合わせで「改装(必要に応じて染抜き→本作品は水洗いでOK) 明朝表具」としました。
大橋翠石の明治期の作品と推定しています。
「上箱+二重箱+多当紙」の箱を誂えています。
他にも平福百穂の作品など・・。
渡船 平福百穂筆 大正10年(1921年)頃
絹本水墨淡彩軸装 軸先 共箱二重箱 2021年8月紐通し細工
全体サイズ:縦1490*横710 画サイズ:縦505*横510
落款の書体からは大正一桁台の頃か?
「作行は画面が多少にぎやかな構成であり、緑青、黄土、代赭を用いた山肌の着彩も、幾分濃密に描いている。画紙の地肌を残すことで煙雲を表現しているこの画風は大正一桁台に頃の特徴で、大正末期には胡粉を引いていたりしている。この頃には渡辺崋山の山水画への継投も見られる。昭和期には純然たる水墨や代赭のみによる深みのある山水画に到達する。」というように表具している間に調べてきた事項を添付して保管箱に収納しておきます。
次は平福百穂の大幅の作品です。
雛菊図 平福百穂筆
紙本水墨着色淡軸装 軸先木製塗 誂箱
全体サイズ:横970*縦1570 画サイズ:横710*縦823
太巻き・上箱+多当紙付
締め直しも検討しましたが、改装は時期尚早ということで、太巻きの箱の誂えを優先しています。
次は展示中に強風にて掛け軸の表具が破けた作品です。
大黒米斗図 柴田是真筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先鹿骨 庄司竹真鑑定箱入
全体サイズ:縦1310*横563 画サイズ:縦387*横531
きちんとしたメンテは福を呼び込むものです。
掛け軸にはメンテは必須です。これはガラス越しではなく、直接絵を鑑賞するという掛け軸の宿命なようなものですが、きちんとした保管と取り扱いであれば、半永久的に状態を保てるものです。
木彫や人形類は人形師へ修理を依頼していますが、この修理は時間がかかっています。ただし数が少ないのですが、ほぼ完了しています。
問題は掛け軸類の修理ですが、修理すべきか否かを含めて表具師さんと相談しながら保存に努めています。古い表具を大切にすることも大事なポイントなので、やたら修理すればよいということでもなさそうです。
下記の作品は紙表具であった作品を再表具した作品です。
*だいたいひと月に4作品から6作品が修理されています。今回は今年の8月完了分の紹介です。
女童図 木谷千種筆 大正4年頃
絹本着色 軸先塗木製 合箱
全体サイズ:縦1770*横540 画サイズ:縦1085*横410
処置は「改装(水洗をする)美人画裂表具 三段表具」です。席画のように描いた作品のようですが、木谷千種の初期(大正初期)の可愛らしい佳作です。
概存箱を保管箱に使用し、多当紙のみ新調します。なるべく費用を軽減する対策を講じます。
次はまくりの状態であった藤井達吉の作品ですが、数多くある藤井達吉の山水画の中でも秀逸な一作です。
萬座(碧南) 藤井達吉筆 1930年(昭和5年)作
和紙水墨金彩軸装 軸先象牙 合箱→2021年8月改装
全体サイズ:縦1065*横650 画サイズ:縦455*横590
三段表装としました。昭和5年頃の作と推定しています。
巻き止めにあった書付類は共箱の蓋裏に貼付しておくようにしています。
概存二重箱の内箱製作(外箱の二重箱は使わなくなったものを転用)、二重箱の多当紙を新調しています。
次は今でも人気の西郷南洲の書です。
三行書 五言絶句 「残菊」 西郷南洲筆 明治8年頃
巻止:吉岡班嶺鑑定有 紙本水墨軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1960*横708 画サイズ:縦1310*横593
*改装必要→2021年8月 改装・箱誂え完了
一字抜けていますが、これは記憶に従って書した証拠となります。西郷南洲が下野した頃の思いを漢詩に託した貴重な作品となります。
改装内容は下記のとおりです。
A.改装(巻き止めの鑑定書を箱の内側に貼り付ける)
B.上箱+多当紙付 新調
次も西郷南洲の書です。
六行書 七言律詩 鉄石肝腸断之首 西郷南洲筆 明治6年頃
紙本水墨軸装 軸先鹿骨 合箱
全体サイズ:縦2080*横1070 画サイズ:縦1630*横917
*改装必要→2021年8月改装完了
この作品も下野したこの頃の作か?
A.染抜き改装
B.上箱+多当紙 新調
次はシミのあった大橋翠石の作品です。
月下猛虎図 大橋翠石筆 明治40年代(1907年)頃
絹本水墨淡彩軸装 軸先木製 誂箱
全体サイズ:横635*縦1945 画サイズ:横510*縦1250
分類A.青年期から初期 :1910年(明治43年)夏まで ~46歳
表具師との打ち合わせで「改装(必要に応じて染抜き→本作品は水洗いでOK) 明朝表具」としました。
大橋翠石の明治期の作品と推定しています。
「上箱+二重箱+多当紙」の箱を誂えています。
他にも平福百穂の作品など・・。
渡船 平福百穂筆 大正10年(1921年)頃
絹本水墨淡彩軸装 軸先 共箱二重箱 2021年8月紐通し細工
全体サイズ:縦1490*横710 画サイズ:縦505*横510
落款の書体からは大正一桁台の頃か?
「作行は画面が多少にぎやかな構成であり、緑青、黄土、代赭を用いた山肌の着彩も、幾分濃密に描いている。画紙の地肌を残すことで煙雲を表現しているこの画風は大正一桁台に頃の特徴で、大正末期には胡粉を引いていたりしている。この頃には渡辺崋山の山水画への継投も見られる。昭和期には純然たる水墨や代赭のみによる深みのある山水画に到達する。」というように表具している間に調べてきた事項を添付して保管箱に収納しておきます。
次は平福百穂の大幅の作品です。
雛菊図 平福百穂筆
紙本水墨着色淡軸装 軸先木製塗 誂箱
全体サイズ:横970*縦1570 画サイズ:横710*縦823
太巻き・上箱+多当紙付
締め直しも検討しましたが、改装は時期尚早ということで、太巻きの箱の誂えを優先しています。
次は展示中に強風にて掛け軸の表具が破けた作品です。
大黒米斗図 柴田是真筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先鹿骨 庄司竹真鑑定箱入
全体サイズ:縦1310*横563 画サイズ:縦387*横531
きちんとしたメンテは福を呼び込むものです。
掛け軸にはメンテは必須です。これはガラス越しではなく、直接絵を鑑賞するという掛け軸の宿命なようなものですが、きちんとした保管と取り扱いであれば、半永久的に状態を保てるものです。