夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

変遷期 柳汀烟雨 小野竹喬筆 昭和初期

2022-01-17 00:01:00 | 掛け軸
冬休みが終わり息子は小学校の第3学期が始まりしたが、連日学校終了後には家で友人らと遊び呆けています。庭でどうもチャンバラでもやったらしい。掛け軸の表具残材の軸先が刀代わりになっています。表具残材の軸先は祖母もなにやら料理かなにかに使っているらしい・・・。



さて本日の作品紹介は小野竹喬の作品です。小野竹喬は1921年(大正10年)に麦僊、晩花とともに、渡欧経験のある洋画家・黒田重太郎の案内で渡欧し、帰国後は東洋画における線の表現について再認識することとなり、江戸時代の南画を改めて学ぶこととなります。そして1923年(大正12年)号を「竹橋」から「竹喬」と改めています。さらに1939年(昭和14年)頃より、それまでの線描と淡彩による南画風の表現を、面的な対象把握と日本画の素材を素直に活かした大和絵的表現へと変えています。



一般に小野竹喬の作品で馴染みのあるのは「面的な対象把握と日本画の素材を素直に活かした大和絵的表現」とされる晩年の時期の作品でしょう。色彩豊かな南画風の「竹橋」時代、線描と淡彩による南画風の表現の「竹喬」初期時代、そして具象化が進んだ色彩豊かな独特な表現へと変遷しています。この変遷は田中一村(米邨)と似通っています。

本日の作品は「線描と淡彩による南画風の表現の「竹喬」初期時代」に分類されるものです。

変遷期 柳汀烟雨 小野竹喬筆 昭和初期
絹本水墨淡彩軸装 軸先木製 共箱 
全体サイズ:横551*縦1188 画サイズ:横433*縦328

このような変遷が知らないと小野竹喬や田中一村の作品を見過ごすことになります。本日の作品の人気の高い晩年の作とは違うので見過ごされやすい作品ですね。



小野竹喬の晩年の作品なら色紙の大きさで数百万円の価格の時もありました。叔父は所蔵していた初期の頃の作品を小野竹喬に持ち寄ったところ、その作品を何らかの理由で引き取り、新たな作品と交換してくれたそうです。



当方にはそのようなことを望むべきべきもありませんが、「竹橋」時代や南画風の作品はお手頃なので数点入手しています。



この作品は昭和初期の作品に間違いないと推定しています。



単なる南画風の作品ではなく、並外れた技量で絹本にまさしく「烟雨」の様子が描かれています。



箱書きからも小野竹喬であることが判断できます。



箱や作品中の引用は小印が押印されています。



本来なら晩年の代表的な作品を入手すべきなのでしょうが、そこは身をわきまえた蒐集ということでご了解願います。



蒐集始めた頃に上記のような作品を入手したことはありますが・・。


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