夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

ちょっとした作品 ローマンガラス小壺

2021-09-20 00:01:00 | その他
本日はローマンガラスの作品の紹介です。以前に本ブログにて「ローマン(もしくは「ローマガラス」)」については触れた記事を投稿しましたが、その作品は当方にて贋作と判断して返品しました。小細工して「ローマンガラス」として売られている作品は数多くありますので要注意ですね。



あくまでも当方では蒐集対象外なので断定はできませんが、本日の作品は正真正銘のローマンガラスと思われます。

ちょっとした作品 ローマンガラス小壺
ケース入 表示「ROMAN GLASS 100~300A/D」 誂箱
口径47~48*胴径60*高さ58*底径約35



きちんとしたケースに収められ「ROMAN GLASS 100-300AD」と記されたプレートが貼られています。しかも台は黒柿ですね。



そもそも「ローマングラス」とは、ローマ帝国の時代に作られ、ローマ帝国領内(現在のイタリアを中心とした地中海沿岸地域)で使用されていたガラス製品全般を指します。「ローマガラス」と呼ばれることもあります。



その時期は、厳密には「ローマで帝政が始まった紀元前27年からローマ帝国が東西分裂をしてしまう395年までの約400年の間に作られたもの」とされています。ローマは、それより以前から栄えていましたが、ちょうど帝政が始まる頃、シリア・エジプトといった主要なガラスの産地がローマ帝国の領土になった事が関係しています。

本作品は狭義の意味での「ローマンガラス」に該当するようですが・・。



技法的にもちょうどその頃、従来よりも画期的に効率の良い吹き技法が発明されて、一気に沢山のガラス製品が生産されるようになり、ローマ帝国内に広まっています。



ローマングラスのキラキラの部分、つまり銀化した部分についてですが、これはガラスが土や砂の中に長い間埋もれていた場合に発生します。ガラスの成分が周りの土に含まれる鉄や銅、マグネシウムの成分と化学変化を起こすのですが、漢などの緑釉の銀化に似ていますね。



埋もれている時間が長いほど、銀化した層が多く重なって光の反射も複雑になり、綺麗になっていきます。ローマングラスを含むこうした銀化ガラスは、人工的には作れないとされています。本作品のように小さくても完品で、これほど全体に銀化が綺麗に化学変化している作品は珍しいと思います。

*これを人工的に作ろうとするゆえに贋作が存在します。判断するには水洗いがいいとされます。傷つけないようによく水洗いすると多くの贋作は化けの皮が剥がれてきます。



狭義でのローマングラスとは紀元前27年~紀元後395年までの間にローマ帝国領内で生産された硝子製品、ということになりますが、「狭義のローマングラス」に当てはまるものは、世間一般に「ローマングラス」として流通しているものの中でも一部で、形が完品な作品は数が少なく、多くは「広義のローマングラス」に当てはまるとされています。



「広義のローマングラス」とは、感覚的には「ざっくり1000年以上前に生産された硝子」となります。地中海沿岸地域だけでなく、欧州や中東で生産されていたものの破片も「ローマングラス」として販売されていることが多々あるようです。



仙台に在住していた頃に著名な骨董店主から海揚がりのローマンガラスの大きめの壺の購入を薦めれたことがあります。「持つべき人?が持つのにふさわしい」とか美辞麗句に心誘われたのですが、60万円という値段に尻込みしたことと、それほど銀化が綺麗ではなかったので購入を諦めました。今思うとかなりお買い得・・??? 逃した鯛は大きい・・・????

本日の作品はかなり小さめの作品ですが、「観ていて飽きのこない」いい作品だと思います。若き頃に逃した鯛を思い出しながら鑑賞しています。

*なおローマンガラスは破片をネックレスに加工したりしている作品は数多くありますね。


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