今回の会社での業務が2年を経ようとしています。取り巻く環境はなかなか厳しいものがあります。愚痴を先週、地方に出張のおり、居酒屋で酔いに任せて吐露しました。ま~、すこしずつ変えていくしかあるまい。間見合わない可能性もありますが・・。
さて、本日は備前の茶碗です。
「茶碗は究極のところは備前」と言われる方は意外に多いものです。その意見に私は全面的に賛成というわけではありませんが、納得しています。冬だけはどうかな? という気がします。
備前の茶碗は古備前ではいい作品を観たことがないので、茶碗というと基本的に作家ものの作品になってしまいます。歴史的な古さがないというのも備前茶碗に対する認識のなさがあるように思います。むろん、茶碗以外の壺、花入などは備前の独壇場ですが・・。
備前茶碗 藤原建作
共箱
口径150*高台径58*高さ92
「なんでも鑑定団」で有名な田中が社長を務める思文閣で近々、藤原建の特集展示会を催すようです。
備前焼に対する情熱がひしひしと伝わってくるような作品です。備前の茶碗というと金重陶陽、藤原啓、藤原雄といったあたりでしょうね。そのほかにも金重素山、伊勢崎淳、森陶岳などたくさんの備前の陶芸家が良い茶碗を造っています。ただ、他の陶器に比べて評価は低いように思います。
藤原建は53歳で亡くなっていることもあり、人間国宝に指定されていないので、力量の割にはご存知の方が少ないようです。 ただ、藤原建の作品は緻密ながらもそれを感じさせない大らかさがあり、何物にも捕らわれない豪放な作風は藤原建の最大の魅力と言えます。
勢いのある糸胡麻や粉雪が舞うように優しい飛び胡麻、土味は刻々と表情を変える夕焼け空のようで、土味、胡麻の景色は自然体でいて見れば見るほどに表情豊かであり、自然の冥利を授かった素晴らしい作品を生み出しています。
本作品も自然と人間がつくり出す備前焼ならではの魅力を語りかけてくれる、そんな茶碗のひとつです。緋襷など小細工のうるさい茶碗でないところもいいですね。高台の堂々たる造りは見事です。
見込みはお茶の緑がいかにも映えて美しくなるような色合いです。
全体の形の歪さはしっくりと手になじみます。
とくに見どころはその高台廻りですね。端正ではないその造りはお茶を飲んだ後の鑑賞で驚きを与え、その作りはまさに男の茶碗と言えます。
共布、共箱の誂えです。購入時はだいぶ使い込んでいるのかなと思いましたが、どうも初心な(一度も使っていない)作品のようです。
余計なことですが備前も贋作が多いので要注意ですよ。
ひとつの真作を入手するとかなりの割合で真贋の区別がつくようになります。下の写真は「備前花入((非公開)」の作品の共箱です。
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藤原健:大正12年生まれ 昭和52年没 享年53歳。陶芸家。備前焼。岡山県生。叔父は藤原啓。金重陶陽・北大路魯山人に師事。岡山県無形文化財。日本工芸会正会員。日本工芸会正会員で金重陶陽賞ほか多数賞を受賞する。
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本ブログを参考にすることで良きつけ悪しきにつけ、真贋の区別がつくようになっていただけると幸いです。
骨董の真贋を云々する前に人間の真贋がよく分かるのが今の仕事・・・。
さて、本日は備前の茶碗です。
「茶碗は究極のところは備前」と言われる方は意外に多いものです。その意見に私は全面的に賛成というわけではありませんが、納得しています。冬だけはどうかな? という気がします。
備前の茶碗は古備前ではいい作品を観たことがないので、茶碗というと基本的に作家ものの作品になってしまいます。歴史的な古さがないというのも備前茶碗に対する認識のなさがあるように思います。むろん、茶碗以外の壺、花入などは備前の独壇場ですが・・。
備前茶碗 藤原建作
共箱
口径150*高台径58*高さ92
「なんでも鑑定団」で有名な田中が社長を務める思文閣で近々、藤原建の特集展示会を催すようです。
備前焼に対する情熱がひしひしと伝わってくるような作品です。備前の茶碗というと金重陶陽、藤原啓、藤原雄といったあたりでしょうね。そのほかにも金重素山、伊勢崎淳、森陶岳などたくさんの備前の陶芸家が良い茶碗を造っています。ただ、他の陶器に比べて評価は低いように思います。
藤原建は53歳で亡くなっていることもあり、人間国宝に指定されていないので、力量の割にはご存知の方が少ないようです。 ただ、藤原建の作品は緻密ながらもそれを感じさせない大らかさがあり、何物にも捕らわれない豪放な作風は藤原建の最大の魅力と言えます。
勢いのある糸胡麻や粉雪が舞うように優しい飛び胡麻、土味は刻々と表情を変える夕焼け空のようで、土味、胡麻の景色は自然体でいて見れば見るほどに表情豊かであり、自然の冥利を授かった素晴らしい作品を生み出しています。
本作品も自然と人間がつくり出す備前焼ならではの魅力を語りかけてくれる、そんな茶碗のひとつです。緋襷など小細工のうるさい茶碗でないところもいいですね。高台の堂々たる造りは見事です。
見込みはお茶の緑がいかにも映えて美しくなるような色合いです。
全体の形の歪さはしっくりと手になじみます。
とくに見どころはその高台廻りですね。端正ではないその造りはお茶を飲んだ後の鑑賞で驚きを与え、その作りはまさに男の茶碗と言えます。
共布、共箱の誂えです。購入時はだいぶ使い込んでいるのかなと思いましたが、どうも初心な(一度も使っていない)作品のようです。
余計なことですが備前も贋作が多いので要注意ですよ。
ひとつの真作を入手するとかなりの割合で真贋の区別がつくようになります。下の写真は「備前花入((非公開)」の作品の共箱です。
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藤原健:大正12年生まれ 昭和52年没 享年53歳。陶芸家。備前焼。岡山県生。叔父は藤原啓。金重陶陽・北大路魯山人に師事。岡山県無形文化財。日本工芸会正会員。日本工芸会正会員で金重陶陽賞ほか多数賞を受賞する。
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本ブログを参考にすることで良きつけ悪しきにつけ、真贋の区別がつくようになっていただけると幸いです。
骨董の真贋を云々する前に人間の真贋がよく分かるのが今の仕事・・・。
建氏は、将来の人間国宝候補でしたが、若くして亡くなられ誠に残念でした。期待し10万円で筒花入れ買いましたが、その後あっけなく死去。期待の人間国宝も水の泡。
現在は、陶陽、啓、陶秀の秀作はほとんど世に出ません。世に出る大半は凡作ばかり。さらにたちの悪いのが箱書きまで真似た粗悪な偽物が多数氾濫していること。高額品は見て手にとって購入するのが一番ベスト。昨今全般的に大きな値上がりは期待薄と思われるが、秀作は非常に非常に少なく、少々高くてもほしがるマニアは多数いる。その割に超秀作は凡作と比較して価格は何十倍もしない。高くとも10倍程度。しかし超秀作は見つけるのが至難のワザ。作品の超秀作と凡作割合は1000対1ぐらい。 個展クラスの秀作と凡作は100対1ぐらいの割合。備前焼は敷居の高い焼物というイメージだが、備前焼と言えども凡作は雑器の価値程度である。当然値上がりなど期待できない。使って楽しむのみ。また昨今はやりの備前焼傾向は備前本来の良さを失い、きをてらった奇抜な物が多すぎる。いずれ飽きられ淘汰されるだろう。価格的興味の参考例としては藤原雄氏でいうと、平成11年百貨店個展での徳利が35万~45万。ぐい呑が20万~25万。現在同等品が市中で10万程度。凡作なら2万程度。しかし偽物でも1万~5万程度で売られているからたち悪い。要注意。個展でもめったに見ないような超秀作なら20万出しても充分に価値はある。雄氏でなく、誰の作でも、備前焼の超秀作になれば、作品そのものに価値がありいつの世になれどその価値は評価される。備前焼の眼力は実物を手にとって、数多く見ることにより、良し悪しがわかってくる。各人の好き嫌いの好みで良いと言ってしまえば、それまでだが、普遍的な優劣は必ずある。パソコンなど情報画面とのにらめっこからでは備前焼の眼力はつかない。多くの個展、伊部に足繁く通うことが早道であると思う。 あくまでも個人的考えです。